JAS法や健康増進法という法律により、複数の添加物をひとまとめに表示できたり、添加物が入っていても表示義務がなかったりします。
そのことについて少し具体的に、その内容をピックアップして見ていきましょう。

酸化を防ぎながら「保存料不使用」の謎

栄養強化としても使われるビタミンCはこんな使われ方もしているという例です。
こちらは表のパッケージに発色剤・保存料を使用していないと書かれているソーセージです。魅力的な言葉ですね。

原材料を確認してみるとビタミンCが入っています。
よく見ると酸化防止剤(ビタミンC)となっています。

酸化を防止する事は劣化を防ぐということですから、つまり日持ちを向上し保存性を高める結果となります。

保存料は入っていない。確かにそうかもしれません。
しかし酸化防止剤は入っています。目的は保存を高めることで保存料と同じなのに、何だか不思議なコピーですよね。

またこのソーセージには一括表示が許されている調味料(有機酸等)が使われています。
これは有機酸の17種類の添加物のうち、複数の添加物が調味料として入っているということです。入れられている添加物の種類は私たち消費者には分かりません。


出典 消費者庁

しかしこの有機酸の中には食品の保存性を高める効果を持つものもあるので、もしそれを使っていたら「保存料を使っていない」と言うのはおかしい気がします。



思い通りに表示が出来る仕組み

食品業界で重宝されている添加物のひとつにグリシンがあります。かすかに甘味があり、食品につやを与え、菌を抑える働きがあるなど、グリシンひとつで様々な効果を得ることが出来ます。
しかし製造工程を知ればあまり口にしたいとは思えない添加物かもしれません。ホルムアルデヒド硫酸アンモニアなどを使うと安く大量生産できるようです。

これを保存料として使ったとします。しかし調味料として使いましたとメーカーが言えば、それが通ってしまうそうです。
例えば「保存料を使っていない」と書かれているかまぼこがあります。成分表示はこのようになっています。

仮にグリシンを保存の為に入れようとした場合、グリシンの名前を出せば「保存料不使用」とは書けません。

そこで保存の為ではなく味の向上の為に使ったことにして、一括表示の添加物の中に入れて保存料の存在を隠す方法をとることも出来ます。(一括表示とは複数の添加物をひとまとめに表示することで、何が中に入っているかは表示されません。詳しくはこちらの記事へ↓
一括表示とは!?知らずに健康を損ねる前に知るべきこと

そうすれば例えば一括表示の調味料(アミノ酸等)の中にグリシンが紛れ、私たち消費者の目に触れることはなくなります。
建前上このグリシンは味を向上させる調味料ですから、保存料ではありませんね。なので「保存料不使用」という表示が可能になるわけです。


出典 消費者庁 加工して作成

食品業界にはコピーライターがいるのかと思うほど、いかにも危険性のないように見える名称や、効果効能があると錯覚してしまうような名称がずらりと並んでいます。素直でいてはその名称に欺かれてしまうかもしれません。

私は幼い頃母から
「人に嘘をついてはいけません。人間は正直に生きなさい。」
と言われて育ちました。

今子育てされているお母さん達も、お子さんにはそのように教えるのではないでしょうか?

大の大人はこれで正直と言えるのでしょうか。
利益追求だけに走ってはいないでしょうか。
どんなメーカーさんも安心安全なものを提供して下さるのなら、消費者は気持ちよく正直になれるはずだと私は思います。