前回日用品を例にとって「一括表示」についてお話ししました。
(前回記事はこちら↓
「健康に良さそう」は間違い?添加物をなるべく食べたないための知恵

日用品、特に化粧品などで元から原材料に添加物が入っていた時、それが製品として完成した際にその添加物の効力が発揮されないとみなされた場合は、その添加物は表示の必要がありません。
このように、成分として入っていてもその効力はないとされ、表示義務がないものをキャリーオーバーと言います。

メーカーとしてのキャリーオーバーのメリットは、保存料をキャリーオーバーにすることで「保存料無添加」「無添加化粧品」等とパッケージに書けることです。表示義務がないのでこういうことが可能になるのですね。
「無添加」という響きは私たち消費者に良いイメージをもたらします。イメージの良い商品は購買意欲も湧きますから、売れ行きも良くなると思います。

 

 

キャリーオーバーを知れば、「無添加」「保存料不使用」などと書くことに「インチキじゃないの?」と思うかもしれません。しかしこれは全くの合法です。キャリーオーバーは表示しなくて良いと法律で決められているため、メーカー側は法に則って表示しているだけなのです。

国民の為の法律なのか、企業の為の法律なのか…いずれにせよキャリーオーバーによって無添加と表示された化粧品などを使って、表示のない成分によって何らかの肌のトラブルがあったとしても、あくまでメーカーは悪いわけではありません。それは何も知らずに使用した本人の責任になるのです。
(キャリーオーバーについて詳しくはこちらの記事へ↓
キャリーオーバーとは?表示を免除される成分たち

 

さて、前置きが長くなりましたが、今日は身近な食べ物に使われるキャリーオーバーについてお話ししたいと思います。

 

食品業界にも存在するキャリーオーバー

 

先に書いたような化粧品と同様のことが食品業界でも行われています。せんべいを例にあげて考えてみるとこういうことです。

 

 

醤油味のせんべいを作る時に使用した醤油に保存料が入っていたとします。

せんべいが完成した時、醤油に入っていた保存料が保存料としての効果は発揮されないと判断されたら、この保存料はキャリーオーバーという事になり、表示はしなくて良いことになります。
表示には「しょうゆ」とだけ書けば良いのです。

 

キャリーオーバーを使えば添加物の数は未知数

 

キャリーオーバーになると消費者は、製品中に一体どんな添加物が入っているのか全く把握できなくなります。キャリーオーバーと称して表示に書かれていない添加物は想像以上にあると言う専門家も居ます。先ほどの醤油の例で改めて詳しく比較してみます。

 

化学醤油と言われる醤油は、添加物を駆使して作られた醤油に似た調味料です。
一方ほとんどの丸大豆しょうゆは、昔から伝わった原材料を使って作られています。醬油の原材料は大豆、小麦、食塩の3つですから下のような表示であるのが普通です。

 

 

一方特価品の醤油はこのようになっていました。
名称はどちらも同じく「こいくちしょうゆ(本醸造)」となっています。

 

 

一般的な昔から作られてきた醤油に使われている原材料は、大豆と小麦と塩の3種類しかありません。本来醤油はこの3つの原材料だけを使って2年ほどの時間をかけ、丁寧に出来上がるものです。
かたや通称化学醤油と言われる新式醸造醤油では、大豆は油を取った残りの脱脂大豆を使い、アミノ酸液を加え、他の添加物も使われて、短期間に製造することができます。

 

もし仮にこの化学醤油を使って醤油せんべいを作ったとします。
醤油に含まれる何種類もの添加物が醤油せんべいの表示に書かれるかと言えば、答えはノーです。醤油せんべいの原材料名には「しょうゆ」としか表示されません。



 

キャリーオーバーはメーカーの意のまま

 

では、キャリーオーバーは政府のどの機関がどうやって決めているのでしょうか。毎回新製品が出来るたびに検査などされているのでしょうか。

そう思った昔の私は調べてもなかなか分からずに、結局政府に(厚生省だったと思います)電話で確認を取ることにしました。
自動音声で居住地の郵便番号を入れるように言われ、やっと通じたと思ったら電話は自宅のある市役所に繋がりました。訊きたい内容を伝えると保健所に電話して訊ねるように言われました。

やむなく保健所に電話でその旨を確認しました。

 

保健所の回答で分かったことは、キャリーオーバーにしても一括表示にしても、政府の機関で抜き打ちの調査は実施されているということです。しかし製品の数が多すぎる事と職員の数が少なすぎるために、全ての検査は出来ていないのが現状という事でした。

検査できているのは、製品数から言うとほぼ皆無に等しいと言えます。後はメーカーの良心を信じるしかなさそうです。

キャリーオーバー、メーカーを信じるしかない法律。
これは自分自身でしっかりと内容を確認するしか安全の道はなさそうですね。