日用品などに保湿剤として入れられているものの代表に、プロピレングリコールという物質があります。物質名ではなく略してPGと書かれていることもあります。
主に保湿剤、乳化剤、殺菌剤、溶剤等の目的で使用され、化粧品類、制汗剤、シェービングローションやシャンプー、リンス、育毛剤や車の不凍液など…ありとあらゆる製品に使われています。

このプロピレングリコールは、もともと表示指定成分です。表示指定成分とは、旧厚生労働省が石油化学成分の中で、皮膚障害や発癌性などの報告を受けたものの中から有害性があると認めたものです。

一般的には毒性は低いとされており、薄めて使うので安全と言われています。
しかしながらプロピレングリコールは99℃以上になると爆発の危険性を生じる物質で、消防法では危険物第4類の第3石油類の水溶性に分類されています。

毒

リスクが全くないのであれば表示指定成分になるはずもなく、やはりなんらかのリスクがあると捉えるべきだと思います。
(表示指定成分いついて詳しくはこちらの記事へ↓
表示指定成分って何?医薬部外品に書かれる成分とは?

少量なら危険性は低いとされていますし、まずそれが高濃度の状態で私たちの手元に届くようなことは考えられません。

しかし微量でも毎日毎日私たちの肌や粘膜に触れ、皮膚から体内へと経皮吸収し続けていることになります。現代日本でプロピレングリコールを避けた生活をしていくことは恐らくできないだろうと言われるほど、本当に多くの製品に使われているのです。
(経皮吸収とはあらゆる医療にも利用されている、皮膚から何らかの成分を体内に吸収する性質のことです。詳しくはこちらの記事へ↓
経皮吸収ってなに?日用品や化粧品が肌から浸透してるの!?

「微量だから大丈夫!」

という楽観視はできません。どういうことか見てみましょう。



様々な成分の体内吸収を促進

急性毒性はなく発ガン性もないとされるプロピレングリコールですが、問題点はその特性にあります。

プロピレングリコールは経皮吸収を促し、医薬品にも使用されるほどの作用があります。薬剤を体内により早く吸収させるための成分のひとつとして使われます。薬の場合は治療が目的ですが、日用品、メイク用品等になると製品に使われている他の危険性のある成分の経皮吸収を促す事となります。

では日用品には他にどのような危険な化学物質が含まれているのかと言うと、発がん性のある成分や、他の成分と化学変化を起こしたり、他の成分と交わることで発がん性物質と変化する成分が含まれていたりします。

明らかな発癌性物質
出典 ガンからの警告 [ サミュエル・S.エプスタイン ]

隠れた発がん性物質も非常に多いです(隠れた発ガン性物質とはそれ自身は直接発ガン性物質ではなく、他の物質と合わさった時や変化した時に、強力な発ガン物質になるもののことを言います)。

「隠れた」発がん性物質
出典 ガンからの警告 [ サミュエル・S.エプスタイン ]

日用品に入れられている成分はまだまだあり、発がん性だけではなくアレルギーの危険性、環境ホルモンに繋がる成分など、数限りなくあるのです。プロピレングリコールが入っていることで、そのような有害化学物質が体に入り込みやすくなるのですね。

アメリカの環境ワーキンググループは経皮吸収促進剤の入った製品、つまりプロピレングリコールが含まれる製品は好ましくないと評価しています。

体内に侵入した化学物質の行く先

他の成分を体に侵入させやすくするなんて、そんな危険なものが世間に出回るはずがないだろう、製品には薄めて入れてるんだし大丈夫に決まっている、という見方をする人もいるでしょう。

しかし、そうとも言い切れません。

ほんの少量、1度きり、体に触れる程度なら、害はないと言い切れるかもしれません。
しかし実際プロピレングリコールに触れる機会は、長い人生の中で、決して一度きりではないと思います。

知らないところで無意識のうちに、体の脂肪分の多いところに蓄積されています。脳や肝臓、乳房や子宮、前立腺などですね。

化学物質は脳や肝臓など脂肪分の多い部分に蓄積される

例えば歯磨き粉などは毎日使います。

一般的な歯磨き粉には、明らかな発ガン性物質であるラウリル硫酸ナトリウムを初め甘味料、タール系色素等、多くの物質が使われているのです。それ自体が危険な上に、プロピレングリコールがそれらの経皮吸収を促し、さらに多くの有害成分が体に入ってくるのです。

ちなみにこのプロピレングリコールは、あろうことか食品にまで入っています。

生麺、イカ・タコの燻製、ジャム、たらこ、餅、チーズ、餃子、豆腐等です。

日用品でプロピレングリコールを使い、食品からプロピレングリコールを食べて、これが蓄積されていったら、一体どうなるのでしょうか。

何年、何十年と時が経ち、それがどういう形で健康を脅かすかはわかりません。安全が確認されていないプロピレングリコールは、避ける方が賢明だと思います。

プロピレングリコール自体の有害性

知りたいことはプロピレングリコールの取り扱いがあるところに訊くのが良いのではないかと思い、国内でプロピレングリコールを販売しているメーカーに問い合わせてみました。
そちらのホームページでは、大量に経口摂取した場合は急性毒性があると表示してはいますが、実際にはそう取り立てて心配するような物質ではないと言います。

うどん等の様々な食品に使われ、メーカー側でもどの食品に使用されているのかを全て把握しきれないそうです。
また目に入った場合は良くないものではありますが、プロピレングリコールは水に溶けやすい性質があるため、すぐに十分な水で洗い流せば問題はないそうです。

ただしアレルゲンになりますかとの質問には、あまりよく分からないようでした。しかし、何度も繰り返し使った場合の反復暴露については問題が起こりかねないので、出来るだけ使用を控えるというところは多いと教えていただきました。(このあたりは、言葉を濁す感じにでしたが…)

他の試験機関でも目に対する刺激性は確認されており、発ガン性はないとか、 大量に経口摂取すると代謝性アシドーシスを引き起こすことがある等、様々な情報が飛び交っています。

アメリカの癌予防連盟会長のサミュエル氏は、著書の中でプロピレングリコールはアレルゲンであると断言し、懸念すべき成分であることを主張しました。

アレルゲン プロピレングリコール
出典 ガンからの警告 [ サミュエル・S.エプスタイン ]

また、日用品についての環境ワーキンググループの報告では、さまざまな製品に含まれる癌のリスクをもたらすとされる「懸念すべき成分」の中に、プロピレングリコールが挙げられているとしています。

プロピレングリコールそれ自体は、危険性はさほどないのかも知れません。
しかしプロピレングリコールは他の安全な物質も危険性のある物質も、体の中に吸収させやすい物質であることは明らかです。
そして研究機関、専門家の意見もあまりにもかけ離れています。

これだけ安全性について意見が食い違うなら、はっきりと安全だとは言い難いように思います。

毎日使う日用品、よく食べる食品にプロピレングリコールが含まれていたとしたら、頻繁に利用するのはどうでしょう。
使う使わないの選択は、消費者である私たちが自ら決めなければならないのです。