当サイトで何度も取り上げている一括表示について、改めてまとめてみようと思います。

一括表示とは同じ目的(保存目的や味付け目的など)の為に使うなら、複数の添加物をひとまとめに表示しても良いという法律です。

一括表示の問題点はこうです。
たとえば成分表に「保存料」と書かれていたら添加物は保存料1つだけだと勘違いしがちですが、実際はその中に何種類もの添加物が入っています。
一見すると少なそうな添加物でも、意外に多くの添加物を摂取することになるのが厄介です。

一括表示

そもそも添加物とは一体何なのでしょうか。私は一括表示という言葉は学校でも習った記憶がありません。食品添加物のことも詳しく聞いたことがありません。

食品添加物は第二次世界大戦後、だんだんと使われるようになりました。
非常に多くの添加物が世間に出回っていますが、こうなったのはつい最近の話なのです。

動物実験などを繰り返した結果、もちろん添加物は安全ということになりました。毒性が発見されたものでも、「急性毒性にならない濃度」を割り出して使われています。

しかし、添加物の多くは最近開発された成分です。
急性毒性がないとは言っても毎日一生添加物を摂り続けたら、何十年後どのように体に反応するのか未だに確かめられてはいないのです。

ましてや1種類だけではなく、通常は複数種類の添加物を一度に摂取します。
添加物が数種類あわさって体内でどう変化し反応するのか、まだ誰にもわかりません。

このことを念頭に置いた上で、一括表示とはどのようなことなのか見ていきたいと思います。



一括表示は14種類

一括表示は全部で14種類です。

イーストフード
ガムベース
かんすい
苦味料
酵素
光沢剤
香料(または人口香料)
酸味料
軟化剤
調味料(アミノ酸等)等
豆腐用凝固剤(または凝固剤)
乳化剤
水素イオン濃度調整剤(またはpH調整剤)
膨脹剤(または膨張剤、ベーキングパウダー、ふくらし粉)

このそれぞれに使える成分が決められています。
一括表示になるとはどういうことなのか、具体例としてイーストフードと乳化剤を見てみましょう。

(例)イーストフード

イーストフードという名前は、イースト菌のフード(餌)のようなイメージを受けますね。全く紛らわしい名前ですが、中身を知ればそんな可愛らしいものではないことが分かります。
イーストフードとして使って良い物質は以下の16種類です。

一括表示 イーストフード
出典 消費者庁  加工して作成

塩化アンモニウム
塩化マグネシウム

グルコン酸カリウム
グルコン酸ナトリウム

酸化カルシウム
焼成カルシウム

炭酸アンモニウム
炭酸カリウム(無水)

炭酸カルシウム
硫酸アンモニウム

硫酸カルシウム
硫酸マグネシウム

リン酸三カルシウム
リン酸水素二アンモニウム

リン酸二水素アンモニウム
リン酸一水素カルシウム

リン酸一水素マグネシウム
リン酸二水素カルシウム

石油由来の化学的な成分の名前が並んでいます。この16種類の中から何種類混ぜても表示はたった1つ、「イーストフード」とまとめて良いのです。これが一括表示ということです。

「イーストフード」とだけ書かれた中身に一体いくつの添加物が含まれているのか、ぱっと成分表示を見ただけではわかりません。しかし、少なくとも2種類は必ず入っているのです。

(例)乳化剤

乳化剤も見てみると、数多くの成分が並んでいます。

一括表示 乳化剤
出典 消費者庁  加工して作成

たとえこの全ての成分が含まれていたとしても、表示は「乳化剤」とひとまとめにして良いのです。

これが一括表示です。

そして赤線を引いていますが、これ以外にも別添1という既存添加物名簿収載品目リストがあります。
そこには365種類の添加物が載っており、そこに乳化剤と記載されたものも入れて良い事になっていますから、乳化剤として使っていい添加物の数はもっと多くなります。
ちなみにこちらのリストのものも乳化剤にはなるのですが、一括表示には含まれないので別途記載が必要です。

保存料があっても「保存料不使用」にできる

一括表示は使い方によってはすごいことができます。
保存料が入っていても、保存料不使用と表示したりできるのです。どういうことか少し見てみましょう。

 

添加物には複数の効果を持つものがあります。
たとえば「保存性」と「味を調える働き」という2つの効果を同時に持つクエン酸ナトリウムです。

食品Aを作る際に、保存の為にこのクエン酸ナトリウムを入れたとします。
食品Aにはクエン酸ナトリウムの他にも、いくつか添加物が入っていました。
その他の添加物の中には、「味を調える」ために入れられた添加物も入っていました。

ここに目をつけ、

「クエン酸ナトリウムは味を調えるために、調味料として使った

ということにすれば、その他の味付けのための添加物と一緒に調味料(アミノ酸等)としてまとめて表示できることになります。
となると、保存料は存在していないことになるので、「保存料不使用」と表示することができてしまうのです。

一括表示 例

保存性のある添加物が含まれているにも拘らず、保存料不使用とネーミングされた製品を生み出すことが可能です。
このカラクリを知らない消費者は「この食品には添加物が少ない」と勘違いしてしまうでしょう。

添加物の安全性は確認されていない

食品添加物自体の問題点はまだ安全性が確認されていないところにあります。フグの毒やキノコの毒のようにはっきりと毒ともわからず、安全とも言い切れません。

ましてや他の添加物の成分と一緒になった時の安全性などもっとわかりません。
危険性は未知数です。今はまだ、私たち自身で人体実験をしている最中なのだとする見方もあるほどです。

添加物 毒性試験
出典 食品・化粧品危険度チェックブック  加工して作成

不確かな安全と不確かな安全が合わさって、取り返しのつかない病気という危険に見舞われても、国もメーカーも、誰も守ってはくれません。
添加物の複数の成分が胃に、小腸に、大腸に行った時に、体内でどう反応するかは分からない部分が多いのです。

食品添加物 相互作用
出典 食品・化粧品危険度チェックブック  加工して作成

私たちは料理に多くの食品を使いますが、その中にどれほどの添加物が入っているのか、把握している人はあまり居ません。さらに使用した食品の中に一括表示があれば、一体何種類の成分がどれだけ含まれているのか、到底分かるはずがありません。

安全性が確認されていない成分が増えれば増えるほど、それらが体内で混ざり合った時の危険性・リスクは増していきます。

添加物の危険を回避する方法

この危険性を回避する方法はただ1つ。
食材を購入する時に一括表示のものがあるかどうか確認することです。

日本で暮らしている以上、日本の法律の下で生活をすることになります。
その日本がこういう一括表示という体制を取っている以上、自分と家族の身は自分たちで守らなくてはいけません。

一括表示だと摂取する添加物の数は思っている以上に多くなり、リスクも増します。避ける方が賢明だと思います。
重複になりますが、一括表示は全部で14種類。もう一度ご覧ください、こちらです。

イーストフード
ガムベース
かんすい
苦味料
酵素
光沢剤
香料(または人口香料)
酸味料
軟化剤
調味料(アミノ酸等)等
豆腐用凝固剤(または凝固剤)
乳化剤
水素イオン濃度調整剤(またはpH調整剤)
膨脹剤(または膨張剤、ベーキングパウダー、ふくらし粉)

特によく見かけるのは調味料(アミノ酸等)、香料、保存料、酸味料、乳化剤ですね。

食品添加物について、日本でもEUのように学校教育で教えてもらえたら良いのにと思います。
日本は政治と企業が密接な関係にあり、こういう情報は表に出辛くなっているのも問題です。
それ以上に、添加物を入れないで安全な製品をメーカーの皆さんが作って欲しいと思います。