アレルギーでもない限り、お子さんには牛乳を飲ませるというお母さんは多いでしょう。
でも一般的に売られている牛乳は安全なのか、疑ったことはありますか?

牛乳

当たり前ですが牛乳は牛のお乳です。
なんとなく年中いつでも牛乳が出ているイメージですが、人も牛も、子供が生まれた時にお乳が出るのが自然です。

そう言われたらそうだな、赤ちゃんを育てる時しかお乳は出ないなぁ。年中お乳が出るのはどうして?…と疑問が湧いてきませんか?

いつでもお乳の出る牛にする仕組み

ではどのようにお乳の出る乳牛にするかというと、まずは人工授精をします。そうすることでお乳の出る牛になりますね。
でも産まれた子にはほとんどお母さん牛のお乳は与えません。お母さん牛のお乳は、私たちが口にする牛乳や乳製品にするためです。

では産まれた仔牛は何で大きくなるのかと言うと、代用乳や人口の粉ミルクで大きくなります。
そして雄なら食肉にする、もしくは種牛にするために農家に売りに出されます。仔牛が雌なら、仔牛を産ませる育成牛かお乳を採る搾乳牛となります。

牛の一生

話を人工授精で子牛を出産したお母さん牛に戻しましょう。
先ほど言った通り子牛を出産して、まずはお乳の出る牛になりました。

牛はだいたい子牛を生んでから300日程度お乳が出ます。300日を過ぎて2ヶ月程お乳を休ませたら、また人工授精でお母さん牛にします。

再び300日ほどお乳を出します。
また2か月後人工授精をします。
これが繰り返されます。

無理やり食肉や乳牛にする牛を産まされ、お乳を搾り取られる訳です。

牛は本来自然だと、一生の間にせいぜい6~7頭の子牛しか出産しません。人工授精で無理に次々と出産させられる牛は、だんだんとお乳の出る量が減ってくるのでおよそ6~7年で廃牛になり、食肉や革製品に姿を変えます。
その他の部分もレンダリング工場で食用牛脂や食用ラード、ミートミールなどに加工されます。

 

人間の都合から見ればこんなに効率の良いことはありませんが、牛にしたらたまったものではないでしょう。自然なら20年程の寿命がある牛ですが、6~7年経って搾乳量が減ってきたら廃牛にされるわけです。

私はどうしても使うだけ使って捨てるという見方をしてしまいます。



ホルモン剤と抗生物質が大活躍?アメリカの酪農事情

少し前のドキュメンタリー映画にアメリカでの乳牛のことが暴露されていました。
アメリカでは搾乳量を増やすためにホルモン剤を与えるということです。ホルモン剤を与えることで搾乳量が30%~40%ぐらい多くなります。

ミルククラウン

酪農家にとって牛乳を安く大量に作るためには、ホルモン剤はとても魅力的な薬に違いありません。アメリカの化学メーカー、モンサント社のホジラックというホルモン剤(アメリカでは1993年に認証されている)などが有名です。

では、ホルモン剤のせいでずっとお乳の出る状態が続いた牛はどうなるのでしょうか?赤ちゃんを母乳で育てた経験のある方なら、想像がつくと思います。

余りにも多くの牛乳が出る牛の乳房は、大きく膨れて乳腺症や乳腺炎に罹ります。乳首が裂けたりもします。炎症が起きればそれは菌が繁殖している証拠です。
炎症を抑える対策として、あるいはばい菌が入り感染症になるのを防ぐ為に、牛の飼料には抗生物質を入れることになります。

あくまでもたくさんお乳を出させるためにここまでするのです。
自然に逆らって無理に牛乳を多く生産するのにはこのようなからくりがあるのです。

 

何だか申し訳なくてこのような作り方の牛乳はとても飲めせんし、残留するかもしれない薬も気になります。そんな牛乳を使って加工されたチーズやバター、それらを含んだ加工食品がどれほど出回っているのかと思うと怖いです。

このように生産された牛乳を、あなたはどう思われるでしょうか。

ご参考に、そういったことが良くわかる本はこちらです。

ザ・コーポレーション [ マーク・アクバー ]

DVDも出ています。大きなレンタルビデオショップにも置いてあると思います。

日本の法律の規制は?動物用医薬品の中身とは

日本動物用医薬品協会によれば動物に用いられる医薬品は、一般医薬品と要指示医薬品のふたつに分けられるそうです。
そのうちの要指示医薬品に抗生物質やホルモン剤、ワクチンが含まれます。

これらは生産者が勝手に使うことは許されていません。獣医師の資格を持つ人が使用するか、獣医師の処方箋か指示書が必要になっています。誤った使い方をすれば動物にも人にも危険性があるからです。

薬に危険性があったとしても、全ての酪農家がこの法律にのっとり間違いのない形で使用しているのなら、さほど問題はないのかも知れません。
しかし酪農家の方からお聞きした話では、飼料メーカー、薬メーカーからしょっちゅう売り込みがくるそうです。

そんなセールスに乗せられて予定外の薬を手にする酪農家さんも居るかもしれません。法の枠を出た薬の使い方をしてしまうかもしれません。万一そんなことになったらどうするのか、売り込みの話を聞いてから不安がぬぐえません。

とにかくこのように法の規制の中で使われている動物用の要指示医薬品には、どんなものがあるかを見てみました。
たくさんの医薬品があることに驚きました。これはほんの一部、冒頭のところです。

動物医薬品
出典 行政手続のオンライン利用の推進(総務省)

医薬品の名前だけを見てもどれが抗生物質かホルモン剤なのか、調べないと分かりません。

ただ薬によっては、使用禁止期間が各々設けられているのが分かります。「食用に供するためにと殺する前○○日間」などと書かれています。
この日にちを守れば、食肉や食肉を使った加工食品、牛乳や乳製品などに薬が残らないということなのでしょうが、果たしてそう言い切れるのでしょうか。

本当に薬が残っていないのなら、牛乳も安心して飲めると思うのですが…
そこでこのことについて、この省令を出している農林水産省に電話で確かめてみました。

 

「この日にちを守れば薬の成分は残らないのでしょうか?」と聞くと、「全く残っていないということではなく、危険性はないということです。」という回答でした。

 

どうやら薬の成分が0になった訳ではなく、薬によってこの量以下なら食べても大丈夫という基準が決められているようです。

基準さえ守れば法律的に問題はありませんが、動物用医薬品メーカーの売込みや、取り締まる側の職員不足を考えると、この規制が100%守られているかどうかは、生産者を信じるしかありません。

牛

安全な牛乳の簡単な見分け方…ノンホモ牛乳とパスチャライズ牛乳

安心できる牛乳はどこに売っているのでしょうか。
大手の牛乳メーカーは、あちらこちらの酪農家から牛乳を調達します。複数の酪農家からのブレンドの牛乳です。ブレンドされた牛乳はどこでどんな菌が混ざっているか分かりません。

そこでメーカーは製品にする時の殺菌温度を高温にします。菌をしっかり殺すには高い温度が必要だからです。念には念をという感じです。
菌が一度でも混入してしまうとメーカーの存続が危なくなるので、当然かもしれません。

殺菌の温度は120度か130度で2秒殺菌が一般的です。
スーパーに並んだり、学校給食に出る牛乳のほとんどがこれに当たります。
しかしそこそこレベルの高いスーパーでは、

72度 15秒

あるいは

63度~65度 30分

と書かれた低温殺菌の牛乳が並んでいます。

低温殺菌牛乳

牛乳の中の脂肪分を、絞りたての状態のままで製品にしているノンホモ牛乳と、絞った状態のままで脂肪分が分離するのを防ぐため、滑らかになるよう撹拌してから製品にしているパスチャライズ牛乳です。

無理に牛乳を搾っていないものの殆どは、この殺菌法を採用しています。
自然に牛を育て、自然な妊娠出産から牛乳を生産すれば、乳腺炎などの病気になることもほぼないため、もともと要らなかった薬も使わなくて済み、高温殺菌で菌を殺す必要もないわけです。

これらは牛乳としての栄養と風味が残っていてとても美味しいです。この乳牛の寿命は本来の20年程になります。

菌の繁殖を避けるために高温殺菌しなければならない牛乳よりも、安全性が高く低温殺菌で十分な牛乳のほうが安心ですよね。

木次 パスチャライズ牛乳 1000ml

地域によっては、酪農家の方々により毎年家畜の供養を行ってくださっているところもあります。

食べるということは自分の命を繋ぐために他の動植物の命を戴くということです。
そういうところにきちんと実感と責任をもって家畜を大切に育ててくださっているところから、牛乳でもなんでも頂きたいですよね。