食品に入っている添加物や日用品に入っている化学物質は、全成分が表示されているわけではない場合があります。
その一つが加工助剤です。今回は加工助剤について見ていきます。

 

表示免除の加工助剤ってどんなもの?

 

加工助剤とは食品衛生法施行規則で定められているもので、食品の製造過程で使っている添加物が製品完成時にはなくなってしまうものや、その食品に使われている他の成分と同じになって(変化して)その分量が増えないもの、製品になった段階で食品中にはごくわずかな量しかなく、食品に影響を及ぼさないもののことです。
これらは加工助剤として扱われ、表示の義務が免除されます。

 

加工助剤の例 油のヘキサン

 

具体的な例を少し上げてみましょう。

例えば植物油を製造する際にその原料が大豆だったとします。
大豆には約20%の油が含まれており、これを絞ると大豆油になります。昔なら圧搾法という製法で、読んで字のごとく大豆を絞って油を取りました。

 

 

しかし現在の多くの油は、ヘキサンに代表される油を溶かす薬品である有機溶剤を使って抽出する方法をとっています。溶剤を使うことで100%に近く油を抽出することが出来ます。作る側にすれば溶剤を使えばたくさんの油が取れるので、これほど良い抽出方法はありません。

抽出に使った溶剤は揮発性があるため、少し熱をかければ揮発して全てなくなるという理由で加工助剤となり、表示の義務はありません。(製造側は100%ヘキサンはなくなると言っていますが、不安の声はなくなりません)

 

加工助剤の例 豆腐の消泡剤

 

もう一つ例を挙げてみます。
一般的にスーパーに並んでいる豆腐や、豆腐から作られる薄揚げ、厚揚げです。

 

 

豆腐を作る際に砕いた大豆を加熱しますが、その際に泡が出てきます。この泡を取り除かなければ、つるっとした食感の良い豆腐にはならない上に、味も損ないます。

添加物を使わずに昔ながらの豆腐を作るところならば、昔と同じ方法で上にある泡をひしゃくなどで全てすくい取って豆腐にします。

しかしこれは大変手間暇のかかる重労働でもあります。そこで多くのメーカーでは、消泡剤と呼ばれる添加物を使うのが一般的です。消泡剤には種類もありますが、これを使えばあっという間に泡が消えて簡単に豆腐を作ることが出来ます。時間短縮、人件費の節約。メーカーには嬉しい添加物です。

この消泡剤は豆腐を作る段階や、最終的に製品になっても殆ど残っていないと言う理由で加工助剤の扱いとなっており、表示の義務はありません。(殆どという事で100%残っていないと言うわけではありません)

 


出典 全豆連 一般財団法人全国豆腐連合会



加工助剤ーこんな食品に使われる

 

ミカンの缶詰のような、ミカンの皮を剝く時に使われる塩酸も加工助剤です。

塩酸と言えば劇薬ですが、全く正反対のアルカリ性の苛性ソーダを使うことで中和され、製品には残らないという理由で加工助剤となり表示が免除されます。

他にはパンに使う臭素酸カリウム、ビールを作る時の炭酸マグネシウム、化学醤油を作る時の塩酸殺菌料、製造溶剤に多くの加工助剤が含まれています。

成分名を見たら不安になるものばかりですが、どれも加工助剤扱いになっているため成分表に成分名が表示されることはありません。いずれも少ししか残っていない、食品に影響がないとされて表示されません。

 

加工助剤に関する考え方の違い

 

加工助剤は日本以外でも使われているようです。

厚生省が出しているホームページに「食品添加物表示制度の諸外国との比較」というものが載っています。そこに書かれている日本とEUの比較をしたときに、微妙に違っているのに気が付きます。

 

 
出典 厚生労働省 加工して作成

 

日本のものは入れられている食品に影響が及ぼさないものになっています。
かたや添加物に厳しいEUでは、加工助剤が残存しても健康に危害を及ぼさないものとなっています。

食品に影響を及ぼさないは当然ですが、先ずは人の健康にどう影響するかに主眼を置いているように読み取れます。

国民が大事なのか企業が大事なのか、国の考え方が見えるような気がするのは私だけでしょうか。