寒い時期は風邪をひきやすくなります。最近気になっているのは公共機関や病院、学校などの入り口に置かれている消毒薬です。
先ほど幼稚園の朝の送迎の際に幼稚園入り口で、園児とその親の手指に消毒薬をかけている光景を見ました。

消毒液 (1)

園児達に風邪や病気が広まらないようにという配慮なのはわかります。ですが毎日朝夕消毒をしているその成分が、将来の健康にどれほど影響するのだろうかと考えてしまいます。

ドラッグストアで手指の消毒薬を見ました。手にかけて乾燥させるタイプの消毒薬です。

手指消毒薬 原材料

主成分はべンザルコニウム塩化物(塩化べンザルコニウム)となっています。これに添加物として

トリイソオクタン酸グリセリン、DL-ピロリドンカルボン酸ナトリウム液、エタノール、香料、グリセリン

が入っています。
これらには危険は潜んでいないでしょうか?詳しく見ていきましょう。



危険性のある主成分

べンザルコニウム塩化物(塩化べンザルコニウム)は消毒によく使われている成分です。
べンザルコニウム塩化物(塩化べンザルコニウム)しか入っていない消毒薬も見つけました。こちらの説明を読んでみると使用してはいけない部位があり、守らなければ症状が悪化したり副作用が起こりやすくなると書かれています。
消毒できるものだとしても、注意書きを見ると少し怖い成分なのかなと思います。

べンザルコニウム塩化物2

そしてべンザルコニウム塩化物(塩化べンザルコニウム)は調べてみると表示指定成分でした。表示指定成分とは日本の政府が認めた危険性がある成分の事を言います。
(表示指定成分について詳しくはこちらの記事へ↓
表示指定成分って何?医薬部外品に書かれる成分とは?

消毒を優先して危険性を冒すべきなのか悩みますよね。

べンザルコニウム塩化物は一般的にあまり危険だと言われない殺菌成分ですが、原液や高濃度の液体が皮膚に付着した際、刺激症状が出ることがあります。濃度は必ず薄めなければいけません。
目に入らないように注意する必要があり、もしも目に入った場合は適切に処置しなくてはいけません。

過剰な消毒がもたらす危険性

手指の消毒など殺菌成分を多用すると、殺菌成分自体の危険性だけではなく、他にも問題が出てきます。

どういうことかと言うと、皮膚の表面や体内にはバイ菌から体を守ってくれている常在菌という菌が住んでいます。
しかし体を守ってくれているこの常在菌が殺菌によって少なくなると、病原菌の体内の侵入を受けやすくなるのです。

更に言うと、殺菌成分に負けまいと病原菌がさらに強い菌に変化します。これを耐性菌と言いますが、強くなった耐性菌に対しては同じ殺菌成分は効きません。
(常在菌、耐性菌について詳しくはこちらの記事へ↓
豚肉に潜む危険性。豚に抗生物質はどうしても必要なの?

消毒液 (2)

また、消毒剤も化学物質ですから、毎日のように使用すれば化学物質過敏症になることも考えられます。化学物質過敏症は体のあらゆる部位へ悪影響をもたらします。
めまいや疲れやすさ、不眠、不安、思考低下など、人によって症状はさまざまで、深刻な環境病だと言われています。診断が難しく、他の病気と間違えたり周りの人にも理解してもらえず、苦しみが続きます。
微量と言えど持続的に接触した場合に発症する可能性があるのです。

このようなリスクがわずかでもあることを理解して、園児やその親に使用をお願いしているのでしょうか。
恐らくはリスクについては詳しく知らずに使っているのではないかと思います。

健康的で安心な理想の手指消毒とは

抗菌剤に添加物として入れられているエタノール香料も安全性に問題のあるものです。それも含めて毎日使っていると思うと怖いですね。
さらにべンザルコニウム塩化物もエタノールも香料も、手指や鼻の粘膜から体の中にやすやすと入ってきます。

皮膚からあらゆる成分が体内へ吸収される性質を経皮吸収と言いますが、これは医療にも利用されている性質です。(湿布やニコチンパッチは経皮吸収を利用したものですね)
そして皮膚を通して吸収された成分はその90%が排出することができません。
(経皮吸収について詳しくはこちらの記事へ↓
経皮吸収ってなに?日用品や化粧品が肌から浸透してるの!?

清潔好きの多くの日本人は菌を無くすのが良いことだと思っています。しかしこのような観点から、それが逆に危険になっていることも多々あるということです。

無菌状態は危険な菌やウイルスに感染しやすく、かえって危険です。
人間の体は常在菌という菌や微生物に覆われており、それでバランスを取ることで健康的に生活できているのです。

「菌や微生物だらけの手なんて気持ち悪い!」と思われる方もいるでしょうが、事実なのでどうしようもありません。体中にいるので、手指の消毒だけしたところであまり意味はありません。
むしろ消毒のしすぎは健康的なバランスを保っていた常在菌のバランスが崩れ、健康を脅かす危険性が出てしまうのです。
(私はかつて皮膚をキレイにしようとした結果、皮膚病にかかってしまったことがあります。
その時のエピソードはこちらです→抗菌加工による肌トラブル!潔癖日本人が好む間違った清潔感

安全なおすすめハンドソープ

手を洗うのなら抗菌剤を使って消毒するより単に水道水だけで洗うか、成分内容を確認し、安全だと分かっているものを使う方が良さそうです。
そうすれば自分の皮膚の常在菌を殺すこともなく免疫が下がることはないので、少々のばい菌に負けることはありません。

私は最近はこちらのハンドソープを使っています。洗い上がりも良くおすすめです。

ハンドウォッシュ

それにしても極端な清潔好きは考え物です。
無理に無菌状態にするのではなく、当たり前に常在菌もいて、自分の免疫力が高い状態を目指すのが望ましいのではないかと思います。