和食が好きな我が家では、出先でお寿司を食べることも多いです。
どこでも見かける回転寿司は一皿100円から気軽に食べられてリーズナブルで大人気ですね。

回転寿司 マグロ

だけど、表示してある名前と違う魚が使われているともよく聞きます。本当のところはどうなのでしょう。

回転寿司に深海魚?

いきなりですが、フードプロデューサーの南清貴氏の著書『じつは怖い外食』にこんな事が書かれていました。回転寿司のあなごはウミヘビ、ネギトロはアカマンボウだと言うのです。一体どういうことでしょう。
本によれば人気のアナゴはマルアナゴというアナゴで、ウミヘビの仲間だと書かれています。

マルアナゴはアナゴではなく、ウナギ目ウミヘビ科ウミヘビ属に分類されています。名前がマルアナゴというのでアナゴの種類と勘違いしそうですが、分類学上はアナゴの仲間ではありません。似ているのは胴体が長いという事でしょうか。

本物のアナゴを出すと一皿100円で提供するのはまず無理なので、多くの回転寿司でマルアナゴを仕入れているのだとか…

 

多くの場合、消費者はアナゴだと思ってウミヘビを食べているわけです。
ポジティブな見方をすれば企業は当然利益を生み出さねばなりませんし、消費者は安く食べたいですから、味が良いなら両者が嬉しい結果となります。

しかし見方を変えれば「偽装」と言われても仕方がなく、子供たちの食育にも問題があるような気がします。

アナゴ

ではネギトロはどうかと言うと、日本近海でとれるマンボウではなくリュウグウノツカイに近い深海魚が使われている事が多いそうです。
リュウグウノツカイで検索すると、ちょっと食欲が失せますが…日本では沖縄あたりでとれるようで、身は赤い色をしており、マグロによく似た味のようです。

リュウグウノツカイ

沖縄では、刺身でちゃんと「マンボウ」と表示された上で鮮魚店で売られているとか。
沖縄では全く普通に販売されているとことをテレビで放映していたのを見たことがあります。私たちがスーパーで刺身を買うのと、何ら変わりはありませんでした。

しかし、このマンボウを回転寿司では本物のマグロに見せるため、足りない油分を植物油脂で補い、味を出すためにたん白加水分解物を加え、赤みが少なければ着色料を加えるなどの加工をして使っているようです。

そういえば、スーパーに並ぶネギトロにも植物油脂や他のマグロが使われていました。安価な価格に設定しようとすると、添加物がどんどん使われるのですね。

カレイのエンガワと思っているのは消費者だけ

エンガワも人気商品です。
ヒラメのエンガワだと思いたいのは消費者の方で、実際に使われているのはカレイのエンガワが多いようです。

エンガワ

漁師の中では価値がないとされていたものを使ってみたところ、「エンガワ」として評判を得たようなので、結果として良かったのかもしれません。
でも確かに本物のヒラメのエンガワならあの価格で提供できるはずがありませんね。

そう言えば確かにどこの回転寿司店でも、ヒラメのエンガワと書かれているのを見たことがありません。

見たことのない代用魚

インターネットで「回転寿司 食材偽装」で検索すれば、写真入りでたくさんヒットします。

ネギトロ→アカマンボウ

ネギトロ  アカマンボウ

マグロ→ガストロ

マグロの代用魚 ガストロ

鯛→ナイルテラピア
アマゾンのピラニアを思い出しました…

鯛の代用魚 ナイルテラピア

カンパチ→シイラ

カンパチの代用魚 シイラ
上記4つ画像出典 NAVERまとめ

などなどたくさん写真と一緒に出てきます。
興味があれば一度検索してみると面白いかもしれません。

回転寿司では魚の表示義務はない

全国すべての回転寿司でこのような代用魚が使用されているとは思いたくありませんが、価格から考えるとあり得なくはない話ですね。
でも、そうだとしたらこのネギトロもアナゴも、表示は偽装表示や不当表示に当たるということでしょうか?

日本ではもちろん国民の食の安全を守る為に、様々な法律が決められています。
消費者庁のJAS法に基づく食品品質表示の早わかり(平成26年2月版)によると、外食・インストア加工の場合はJAS法の表示をしなくて良いとなっています。

外食産業 JAS法の適応外
出典 消費者庁

回転寿司の仕入れ先の卸売業者や製造業者は法律上表示義務がありますが、回転寿司で消費者にお寿司を提供する場合には「アカマンボウを使ったネギトロ」とか、「ウミヘビの一種のマルアナゴ」などと表示する必要はないのですね。

2013年、一流ホテル内のレストランで食品の偽装が問題となりました。それは法律で偽装してはいけないと決められているからです。
回転寿司や外食産業にはこの法律は適応されません。正々堂々と法律に従って営業していると言えるのです。

 

おそらくメニューを見て、たとえばアナゴだと思ったものがウミヘビと書かれていたら、注文するのに勇気が要るかもしれません。
でもたぶんほとんどの方が(それとは知らず)すでにウミヘビを口にしたことがあるでしょう。

あの味です。美味しいですよね。あれだけ美味しくてあのお値段で提供できるのなら、堂々と「ウミヘビ」と言って売り出しても良いと思うのです。
消費者が勘違いしそうな表示はせず、堂々としていれば良いはずです。そうでなければ偽装だと言われてしまうリスクがあるのは仕方がないのかもしれません。

味に自信があるなら正々堂々と商売してくれた方が、消費者としても喜んで食べに行くのになと思います。