以前、「家庭菜園するみたいにベランダで太陽光発電しよう!」という楽しいワークショップに参加しました。
(その時の記事はこちら↓
自宅で「ベランダ発電」?太陽光発電を自作体験

今度は「太陽熱で温水を作る、料理をする」という案内を頂き、太陽熱で料理ができるなんてどんな事をするのだろうと行ってきました。行ってみるとそれは単に料理が出来るだけの単純なものではなく、その可能性の先が地球の救いになるような素晴らしい内容だったのでお伝えします。

高い技術を持った講師

今回お話しして下さったのは、前日に陸前高田市のボランティアから帰って来られたばかりの福寿喜寿郎氏です。現在シエラテクニクス株式会社代表取締役・ソーラーリーグ理事長でいらっしゃいます。

福寿氏は明石工業高等専門学校卒業後から製鉄所にお勤めで、退職されるまでずっと現場で開発や製造に携わって来られました。主に扱っていたのは鏡だそうです。

お話によると現役時のお仕事は自動車の開発、ディジタイザー用底盤、スバル望遠鏡を作ったり、ドーバー海峡の海底のトンネルを掘る機械を開発したり、癌治療器の開発、そして標高5000mの南米チリの電波望遠鏡を何十も設置したりと、大きなものだったそうです。

下はチリの電波望遠鏡です。
(講演会場でのプロジェクターの映像なので、ちょっと斜めからの写真です。)

その福寿氏が引退後、どうしてお湯を沸かしたり太陽熱で料理をするようになったのでしょう。
先ずは実際のソーラークッカーから見てみます。

点状集光式ソーラークッカーでお湯を沸かす

太陽のエネルギーはおおよそ1㎡あたり800Wもあるそうです。その太陽光を浴びて温かくなることはあっても、直ぐに燃える訳ではないのは光が1㎡に均等に分散しているから。
逆に言えばその分散しているものを集めれば、強力なエネルギーが生み出されます。

昔小学校の頃に誰もがやったことのあるであろう、虫メガネで太陽光を集めて紙が燃える原理と同じです。

このエネルギーを調理に利用すると言うのですが…今回持ってこられたのは点状集光式と線上集光式のふたつです。キャンプ用品売り場にはソーラークッカーとして市販されているものもありますね。
点状集光式は男性用の雨傘に反射シートを貼りつけて加工したものです。水を入れた金属のコーヒーのボトルが備え付けてあります。

温度計が100度になっているのが分かるでしょうか。
この日、4月の晴れた日で約7~8分で水が沸騰しました。

準備していたカップラーメンにお湯を注ぎ、間もなくしてラーメンが完成しました。

こちらは自作するなら材料費3000円程度で出来るそうです。傘なので折り畳めて、キャンプに持っていくのに良いかも知れません。



線上集光式太陽熱ボイラーで焼き芋

こちらの線上集光式では太陽熱を使って調理します。

芋を入れておくと、焼き芋の出来上がりです。

他には大根や人参、椎茸に軽く塩味をつけて蒸し焼きにしたものも頂きました。
煮豆やご飯を炊くことも出来るそうですよ。すごいですね。

線上集光式太陽熱ボイラーでお風呂

線上集光式太陽熱ボイラーは、中に水を通せばお湯を沸かすことができます。
お湯の設定温度も40度~100度まで変えることができ、実際に自宅の空き地に設置して毎日お風呂に入っているご家庭もあるそうです。

講師の福寿さん達は、災害を受けた陸前高田市にこの装置を設置するボランティアをされています。
電気もガスも要らないこのエネルギーは、様々な施設での冷暖房、浴用、農業用(ビニールハウスなど)と広範囲の活用が期待できます。

ボイラーを設置された後はその後のメンテナンスもお任せできます。
こちらは頂いたボイラーの図面です。

お風呂にも暖房にも使えることがよく分かります。

福寿さん達はこのシステムを何一つ隠すことなく、情報は全て無償で提供されています。
毎日動く太陽の位置を測るソフトや計算の仕方、開発した内容も、あえて特許も取らずに全て提供して下さいます。

太陽エネルギーを利用することが地球を救うことに繋がるからだと言います。
地球を守るべくエコを広めたいというこの姿勢は、見習わなければいけない気がします。

後半(救世主太陽熱…世界中の電力を賄えるクリーンなエネルギー)に続く