排水管の汚れを落とすパイプクリーナーはとても便利ですよね。
排水管をブラシでこすらなくても、流すだけでパイプの汚れが取れるなんて強力そうじゃないですか。

パイプクリーナー

でもなんだか環境には悪そうです。また健康への影響はどうでしょうか?

激安のパイプクリーナー

近くのホームセンターでオリジナルで作られているパイプクリーナーを見てみました。黄色いボトルで1000mlも入ってたった170円の値段です。
ここまでお安いということは、石油由来の合成の化学物質であることは判断できますね。

パイプクリーナー 原材料

品名 排水パイプ用洗浄剤
成分 水酸化ナトリウム(1%)、次亜塩素酸ナトリウム、界面活性剤(アルキルアミンオキシド)
液性 アルカリ性

と書かれています。内容をよく見ていきましょう。



水酸化ナトリウムの危険性

水酸化ナトリウムは台所用の塩素系の漂白剤にも、お風呂のカビ取り剤にも使われている劇薬です。国際化学物質安全性カードを見てみましょう。

水酸化ナトリウム (1)
出典  国際化学物質安全性カード 加工して作成

体への影響として腹痛、口や喉の熱傷、咽喉や胸の灼熱感、吐き気、嘔吐、ショック/虚脱等の症状が出れば、すぐに医療機関に行かなければなりません。

水酸化ナトリウム (2)
出典  国際化学物質安全性カード 加工して作成

いずれの場合も医師に相談!と太文字で書かれていました。

特に太文字で「吐かせない」と書かれているのが怖いところです。危険な有害成分を飲み込んでしまった場合、慌てて吐かせようとします。でもそれが逆に危険な事もあるのです。吐かせることで劇薬が喉を通る事になり、喉や声帯がただれる事があるからです。
太文字で警告しているところからも、水酸化ナトリウムはそのような可能性のある有害成分だと分かります。

そして最後に処理の仕方ですが、この物質を環境に放出してはならないと太文字で書いてあります。

水酸化ナトリウム (3)
出典  国際化学物質安全性カード 加工して作成

排水管のパイプクリーナーです。
パイプに流した後にどうやって処理すれば良いのでしょうか。パイプクリーナーを水で流さない人が何処にいると言うのでしょう。

次亜塩素酸ナトリウムの危険性

次亜塩素酸ナトリウムは次亜塩素酸ソーダと呼ばれたり、さらし粉と呼ばれたりします。学校のプールの消毒でおなじみの晒し粉の事です。

大腸菌などの殺菌や消毒の為に使われます。簡単に殺菌・消毒ができるので、多くの日用品にも使われています。食品にも殺菌剤として使われますが、様々な分野で悪影響を及ぼします。

国際化学物質安全性カードによれば、吸い込むと喉や咽頭の痛み、皮膚や目が赤くなったり、痛みが出るとしています。
もし飲み込んだ場合は、腹痛や灼熱感、咳、院疼痛、下痢、嘔吐を起こすと書かれています。

次亜塩素酸ナトリウム
出典 国際化学物質安全性カード 加工して作成

予防のためには換気や保護手袋、安全眼鏡の着用が必要としています。
しかし台所やお風呂の排水溝の掃除で、ゴーグルのような眼鏡をつけて掃除をするという人を、私は見たことも聞いたこともありません。

界面活性剤(アルキルアミンオキシド)の危険性

最後の成分、界面活性剤(アルキルアミンオキシド)も合成の界面活性剤で、体にも環境にも良くない事は明らかです。界面活性剤自体の危険性は、どなたもご存知の通りです。
安全と言える合成の界面活性剤は、なかなかお目にかかれません。多くの合成界面活性剤は、人体にも環境にも当然良くありません。

さてここで、ある資料があるのでご紹介いたします。

アミンオキシドのヒト健康影響と環境影響に関するリスク評価結果

アミンオキシドのヒト健康影響と環境影響に関するリスク評価結果まとめ
出典 日本石鹸洗剤工業会
http://jsda.org/w/01_katud/jsda/jsda_AO_20100531.pdf
(お手数ですが、ご興味のある方は手打ちで検索されてください)

こちらの資料は、アルキルアミンオキシドだけについて日本石鹸洗剤工業会がリスク評価を出したものです。
この資料では、「現在の使用状況ではいずれもリスクが低い」としています。低いとしているだけで安全とは一言も書かれていません。

この「リスクが低い」と結論付けた日本石鹸洗剤工業会の環境・安全専門委員会のメンバーは、大手日用品メーカー4社、大手化粧品メーカー1社、大手化粧品、食品メーカー2社で構成されている事も追記しておきます。

アルキルアミンオキシドを使って製品を作り、販売しているメーカーばかりで構成された専門委員会で「自社の製品に入れている成分は危険ですよ」と結論付けられることはないと思います。
このメンバー構成の委員会が「リスクが低い」と結論付けたのは、ある意味当然の結果です。

しかしそれでも「安全である」とは書けなかったのですね。
その理由を考えると、いかに恐ろしい成分であるかお分かり頂けるのではないかと思います。

危険な有害成分は環境破壊を引き起こす

水酸化ナトリウム(1%)は、お風呂のカビ取り剤の2倍の濃度です。お風呂のカビ取り剤だけでも目に滲みる程刺激があるのに、その倍の濃度なのです。
そしてさらに、環境に流してはいけないと言われているのです。

次亜塩素酸ナトリウムはゴーグルを着けないと作業もできない物質です。

このような危険なものを水に流せば、流れゆく先は飲料水を汲む川になりますし、私達が食糧として頂く川や海の生物に行きつきます。

海

このようなものをどんどん使って、結局は自分たちの首を絞める結果になるのではないでしょうか。

簡単で便利なものには有害物質が使われている事が多いです。「自分の家の排水管が綺麗だったらそれで良い」のではなく、本当に健康と環境に良いものなのかどうかで日用品を選ぶべきではないかと私は考えています。

パイプ掃除は休みの日に昔ながらの方法で

台所の排水管は、体に悪くメタボリックになりそうなメニューが多いと、ベタベタして詰まりやすくなります。日々食べるものは、排水管にも体にも優しいヘルシーなメニューが良いかもしれません。

和食

ホームセンターには昔ながらの、先にブラシのついた排水管用の掃除道具も売られています。
普段はメタボ対策の健康メニューを心掛け、お休みの日に昔ながらの方法でお掃除すると、健康にも環境にも優しくなれますね。