果物で特に好きなのは葡萄です。デラウェア、マスカット、巨峰など、種類も豊富で美味しいですよね。
ところで、種無し葡萄について不思議に思った事はありませんか?
「なぜ種無し葡萄には種がないんだろう?種ってどうやって取るの?」などと思った事はないでしょうか。
実は私も子供の時からの疑問でした。すべての植物は種なりなんなり、子孫を繁栄させる手段を持っています。葡萄にだって、種はできます。どうしてもできてしまうのです。それが自然の摂理です。
それがどうして、種がないのでしょうか。
実は種なし葡萄は、種が出来ないように手間暇をかけた葡萄なのです。
種を付けさせない栽培の過程で、その房にジべレリンという植物ホルモンの農薬をつけた結果です。これをジべレリン処理と言います。ジベレリンとは何かと言うと、葡萄に限らず植物が成長の過程で自然と関わるようになる、植物ホルモンのひとつです。
どのように作業するかと言うと、バケツに入れたジべレリンに、葡萄の房がしっかり浸かるようにして一定の時間待ちます。時間が短いと種ができてしまいます。
この作業を出荷までに2回行います。農家さんにとっては大変な重労働です。ジべレリン処理をすることによって葡萄の房は大きくなり、種がなくなります。
ジベレリンは日本では農薬登録されている薬ですが、実はそんなに怖い農薬でもありません。植物ホルモンのジベレリンが、日本では農薬で登録されているというのは少し違うような気もしますが…
植物の成長を促したり実を大きくしたりするこの薬は、アメリカにおいては農薬扱いではなく、安全性も高いとされています。
ただひとつだけ、エジプトの研究でハツカネズミにジベレリンを投与したところ、乳腺ガン、肺腺がんなどが見られたという報告があると書かれた記事もあるようです。
しかしその詳しいデータは私には見つけられませんでした。
一般財団法人「残留農薬研究所」の担当の方にその旨を訊ねましたら、研究データがはっきりしないものは単独で無理な環境で試験を行い、しかもただ一度きりの試験ということもあり、信用に欠けると仰っていました。
私もそう感じます。ちゃんとしたものならどこかに研究データや論文があるはずだと思うのです。
ジベレリンについてのマイナスの報告はこれぐらいで、アメリカでもリベレリンはEPA(アメリカ合衆国環境保護庁)の審査ではその毒性の低さから、全ての作物への残留基準が撤廃されています。
私が小さい頃から種なし葡萄は存在し、それが原因で健康被害が出たということは、私の知る限り今までなかったと思います。
しかし…
まっすぐで大きくきれいな野菜を。
種を取る手間のない種のない果実を。
と、私たち消費者は時々わがままを言ってしまいます。
すると必要ないかも知れない農薬が使われることに繋がるかもしれません。
私たちの姿勢もどうあるべきか、見直すことも必要なのではないかな、と思います。