季節の変わり目などは風邪予防にビタミンCを摂ろうと思う人も多いでしょう。予防は大切です。なってから対処するより、ならないようにする方が良いですよね。
ビタミンCが入っているキャンディーは、手軽に栄養が摂れて便利です。
ですが、本当にあれでビタミン補給になるのでしょうか?
よく「レモン〇〇個分のビタミンC」などと書かれているパッケージを見かけます。
あんな小さな袋にどうやって何個ものレモンを絞って入れているのでしょうか?
しかもそんなに大量の栄養が入っているのに価格はせいぜい200円程度です。レモン一個でも100円はするでしょう。計算が合いません、おかしいですよね。
ここにはからくりがあるのです。
キャンディーの「ビタミンC」は合成ビタミン
多くの食品に使われているビタミンCなるものの中には、合成化学物質のアスコルビン酸と呼ばれるものが結構あります。ひょっとしたら表示はビタミンCであっても、石油由来の合成化学物質のアスコルビン酸かも知れません。
化学式は天然のビタミンCと同じですが、並び方が転写のように全く反対です。例えると、右と左の手の平のように形が似ているけれど、左右が違うのです。
日本の法律では組成が同じという理由で、合成のアスコルビン酸をビタミンCと表示していい事になっています。
出典 厚生労働省 加工して作成
本当は「合成のアスコルビン酸配合」ということなのに、「ビタミンC」と表記できるのです。
素直にアスコルビン酸配合と書くと、おそらく消費者は敬遠するでしょう。
イメージが良い方が製品は売れます。合成のアスコルビン酸と表示するよりも、ビタミンCと表示して栄養が摂れると思ってもらう方が、消費者の購買意欲は高くなります。
これは法律で認められていることなので、メーカーが嘘をついている訳ではなく騙している訳でもありません。しかしながら一消費者の私としては、せめて「合成ビタミンC」ぐらいの表示であっても良いのではと思います。
最近は石油由来のアスコルビン酸よりも、ジャガイモやトウモロコシ等のでん粉から化学的に作られたビタミンCが多いと聞くので、メーカーにメールで問い合わせてみました。
問い合わせたメールはこちらです。
午前中にメールすると、夕方に返事をいただきました。
回答としては、「トウモロコシから作られている」としか書かれていませんが、でん粉から化学的に処理しないとビタミンCにはなりません。
もう少し分子の配列の事など教えていただけるかと思ったのですが、短く簡潔に、一般的に使われている危険性のないものだというアピールで終わってしまいました。
今のところ合成のビタミンCの危険性はあまり聞かないので大丈夫かなとは思います。
しかしパッケージには「レモン〇〇個分のビタミン」や「VC〇〇」のように、いかにも多くの天然ビタミンCが入っているような表現がされていますね。
この表現には消費者として少し疑問に感じます。まあ、正直に合成ビタミン〇〇と書かれても買う気はしませんが…難しいところですね。
ビタミンだけでは体に吸収されない
合成か天然かの話はさておき、トウモロコシから作られたビタミンCだけに頼った風邪予防は可能なのでしょうか?
天然のビタミンCにはビタミンCのみならず、他の微量な栄養素もくっついています。この微量な栄養素のおかげでビタミンCは体内に吸収され、栄養として体内で働けるのです。
栄養素は単独で有効に作用することはありません。
あらゆる栄養素と連鎖し合い、ようやく栄養素としての役割を果たせるのです。
たとえば、人間が生きていくために不可欠の46必須栄養素の図がここにあります。
(画像クリックで大きく表示されます)
どの栄養素も緑の線の先の栄養素がなければ体に吸収されず、青い線の先の栄養素が無ければ役に立ちません。
ちなみに、ビタミンCはこちらにありますが↓
体に吸収されるためには緑の線の先のリノール酸とビタミンB5が必須です。
そして吸収されたのちにビタミンCとして役立つためには、青い線の先のビタミンB6、ビタミンB2、ビタミンB3、ビタミンAそして鉄が必要です。
つまり、単体のビタミンCだけを摂っても他の栄養素を同時に吸収しなければ、何の意味もありません。体を素通りするだけです。
栄養素は、それのみで体に作用するわけではないということです。
それが栄養として体に働くためには、他の栄養素もバランスよく摂取していく必要があるのです。
(詳しくはこちらの記事へ↓
サプリも効果なし!?栄養吸収の条件、46必須栄養素の話)
石油から作った合成のアスコルビン酸や化学的に合成されたビタミンCに頼るのではなく、日本のみかんやビタミンCが多い野菜で風邪予防するのはどうでしょうか?
ひとつの栄養に特化して作られた合成のものよりも天然のものの方が、様々な栄養と一緒に入っているので、効率よく吸収されてビタミンCとして役立ちます。