今や日用品、衣料品、電化製品とあらゆるものに抗菌加工が施されています。

思い起こせば抗菌加工の一番最初の商品は、男性対象の靴下であったように思います。
匂う靴下を匂わない靴下に加工し、瞬く間に大ヒット商品となりました。靴下メーカーはこぞって抗菌・防臭加工を施し、今では抗菌・防臭加工をしていない靴下の方が少ないかもしれません。

 

靴下 (1)

 

この抗菌・防臭加工のヒットの後、さまざまな抗菌・防臭・防カビ加工の製品が次々と登場してきます。

ここで考えてほしいのは、抗菌・防カビ加工とは細菌やカビの繁殖を抑える、死滅させることだということです。

 

人の体を守る皮膚常在菌

 

人の皮膚の表面には、およそ1兆個の皮膚常在菌と呼ばれる菌が生息しています。その中には表皮ブドウ球菌、アクネ菌、マラセチア菌、黄色ブドウ球菌など、名前だけ聞くと悪い菌のように思うかもしれません。
しかし皮膚常在菌は通常は皮膚にとって悪さをすることはなく、逆に外から来る病原性微生物から私たちの皮膚を守ってくれているのです。いわゆるバリアのような役目を果たしているのですね。

 

皮膚 肌 常在菌

 

そもそも土の中にも空気中にも水中にも無数の菌やカビが生息しています。その中で適応して暮らしている私たちに、抗菌・防カビ剤を頻繁に使う必要があるのでしょうか。

 

皮膚常在菌のバランスを崩す抗菌剤と防カビ剤

 

抗菌剤も防カビ剤も菌やカビの繁殖を抑えたり死滅させるものです。そんな菌やカビを弱らせたり死滅させる時、同時に体に生息している無害な常在菌も一緒に消滅していくことになります。

バリアのような常在菌が居なくなることで、他の病原菌などが入り込みやすい環境となることが考えられます。
また、抗菌剤も防カビ剤を使うことで新たな耐性菌が出来てくる可能性が出てきます。耐性菌が出来てしまうと必要な時に抗生物質が効かなくなることも懸念されるところです。
(耐性菌について関連記事はこちら↓
豚肉に潜む危険性。豚に抗生物質はどうしても必要なの?



 

抗菌靴下は水虫を招く

 

靴下が匂うのは靴下に浸み込んだ汗や皮脂を微生物が分解するからです。
この微生物の繁殖を抑えるものが抗菌剤という事になります。しかしこれは同時に体に有用な皮膚常在菌も減らす結果になってしまいます。

国立医薬品食品衛生研究所・療品部の鹿庭正昭博士は
「抗菌加工された靴下を履き続けた場合、常在菌のバリアーまで壊してしまう可能性がある。その場合外部から水虫菌などの病原菌がつくと即座に感染し、症状が悪化する可能性がある。」
と述べています。

 

靴下 (2)

 

水虫対策には感染の危険性が高まる抗菌靴下に頼らず、お風呂でしっかり足を洗うと良いでしょう。
また、靴も毎日同じものを履くと匂いますし、傷み易いので長持ちしません。理想論を言えば2足買い揃えて交互に履きたいところです。
水虫予防には軽く日光に当てて風を通すのも良いそうです。試してみる価値はありそうですね。