先日ホームセンターでこんな洗剤を見つけました。表のパッケージが目に留まったのです。
手肌に優しく油汚れもすっきり落とす食器と野菜洗いの洗剤
と書かれていました。
野菜も洗える洗剤ですか…野菜を洗剤で洗うことに疑問や抵抗を感じますが、中身は安全なのでしょうか。
4ℓで498円の破格の意味
手肌に優しく野菜も洗えて4リットルの量も入っているのに、お値段はなんと498円。
4リットルも入っているのにこの値段です。こんなにお安い安全な洗剤なんてあるのでしょうか。
この謳い文句通り本当に安全なら、会社が大赤字になってしまうような値段設定です。成分表示をチェックしてみることにしました。
格安の「安全洗剤」は危険な合成洗剤だった
となっていますので、やはり野菜にも使えるようです。
成分は単純に合成界面活性剤だけですね。
界面活性剤の中でも悪評で有名な直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムが一番に書かれているのには、さすがに驚きました。
人や生態系に悪影響を及ぼす恐れ
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)は陰イオン系界面活性剤で、表示指定成分のひとつです。
表示指定成分とはアレルギー等の肌トラブルを引き起こす恐れのある成分のことです。表示指定成分を使用した場合は、その成分を表示することが義務付けられていました。(現在はすべての成分を表示するように法律が変わり、どれが危険な成分なのか分かりにくくなっています)
(表示指定成分について詳しくはこちらの記事へ↓
表示指定成分って何?医薬部外品に書かれる成分とは?)
しかしそれ以上に怖いのは化管法の第一種指定化学物質のひとつでもあることです。
化管法は有害性があるとされる化学物質が流出した時に、環境の保全に支障が出ないように防止する為に作られた法律です。
出典 環境省 PRTRインフォメーション広場 加工して作成
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウムは化管法の第一種指定化学物質です。つまり、このような危険があるのです。
人や生態系に悪影響を及ぼす恐れがあるとはっきり書かれています。
自然環境の中で簡単に有害な化学物質を作り、オゾン層の破壊の原因になる物質でもあるのです。
経済産業省も認識している危険性
出典 経済産業省 加工して作成
化管法について経済産業省で見てみると、「分解しにくく、蓄積性が高く、その毒性は長期にわたり影響して、動物に対して慢性毒性がある」と書かれている物質です。
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム( LAS)が合成洗剤の中でも危険度がかなり高いのがよく分かります。
化管法なんてあまり聞いたことがないかも知れませんが、化管法第一種には 462種類、第二種には 100種類の化学物質が危険だと指定されているのです。
環境に大きな悪影響
ポリオキシエチレンアルキルエーテルも非イオン界面活性剤のひとつです。これは化学物質排出把握管理促進法にも指定されている化学物質です。
出典 環境省 加工して作成
化学物質排出把握管理促進法とは環境保全の化学物質の管理のための法律で、環境を守る事を目的としています。
出典 経済産業省 加工して作成
この法律に指定されるという事は、環境に有害な影響を与える化学物質という事です。
環境省にはデータがたくさんありすぎて全部はここに載せられませんが、この濃度でどの生物が影響を受けるとか死亡するとか書かれています。
出典 環境省 加工して作成
そして平成19年度のポリオキシエチレンアルキルエーテルの推定排出量は
出典 環境省 加工して作成
大気中に 23.023㎏
河川や海などの水域に 18. 033.102㎏
土壌に 430.163㎏です。
想像もつかない膨大な量ですね。
こんな危険なものを工場や各家庭から流しているという事です。
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)もこれぐらい、いえもっと、これ以上環境に流しているのでしょう。
結論:手肌に優しいとは信じがたい
ここまで「人体や生物や環境に悪い」と言われている成分だけで作られた洗剤を、私たち消費者が買えるように売り場に並べて良いのでしょうか。
手肌に優しく油汚れもすっきり落とす食器と野菜洗いの洗剤
と書かれていたら、何も知らない正直な消費者は疑うことなく買って使ってしまいます。
体にも環境に悪い直鎖アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(LAS)、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが手肌に優しいとは言い難いと思います。
台所洗剤として使うのも良くないですし、ましてや野菜や果物をこれで洗うなんてとても考えられません。
洗剤を使う必要があるでしょうか。
野菜も果物も洗剤ではなく、洗うのは水だけで十分じゃないでしょうか。
まずは安全性が優先だと思います。
魅力的な謳い文句の製品は、それが本当なのか、成分表示を見て確かめてから購入されることをおすすめします。