前回、牛肉が生産者側の思いのままに加工できることを記事にしました。
大きさも脂の割合も形も、全く自由自在に作れるのですね。あの高級霜降り肉でさえ固いオーストラリアビーフから作る事ができるのです。

肉

しかしこの加工技術はお肉だけではありません。実は魚にも加工が施される場合があるのです。

「トロ〇〇」は人工的に作ることが可能

肉の加工は、牛、鶏だけで終わりません。海に住む魚肉にまで加工技術は使われているのです。

スーパーでお買い得価格で売られている、脂がよく乗った魚たち。
「トロ〇〇」といういかにも美味しそうな「トロ」という文字が消費者の目を引きます。

しかし実はトロではない普通の魚に一工夫すれば、お値段の少し高いトロ〇〇を作ることができるのです。

この時使うのは軟化調味料というもの。長い針の注射器に軟化調味料を水で溶いたものを入れ、魚に針を刺して注入します。
これはうまみ成分があることに加え、魚の中から出てこない性質があるため、簡単にトロ〇〇の出来上がりとなります。

トロサーモン

軟化調味料を使うと焼いても縮まないため、これも消費者受けするところです。縮んでいない脂の乗った魚を食べられれば、お客さんは喜びますね。

以前「成型肉は食品添加物で作られる」というタイトルでガイアの夜明けがスペシャルとして放送されました。その中に「トロ〇〇」を作る様子も収められ、ご覧になった方は驚かれたのではないでしょうか。

普通の魚なら大体決まった値段しか付きませんが、脂の乗ったトロ〇〇なら販売価格を高く設定できます。高いと言っても加工にはそんなにコストは掛からず、天然の脂の乗った旬の魚よりも低価格を実現できますから消費者側もお買い得感があります。

ちょっとの手を加える事で加工業者喜ぶ、仕入れたスーパー喜ぶ、お買い得価格で買った消費者喜ぶのトライアングルが出来上がるというわけです。



安心な食材は旬の時期が一番美味しくて安価

成型肉は法律できちんと認められたお肉です。数年前ステーキ店の表示で偽装が問題になりましたが、ちゃんと成型肉と書いていれば何の問題もなかったのです。
同様にトロの軟化調味料はきちんと認められた食品添加物です。軟化調味料の原料となる成分がちゃんと表示されています。

食品添加物メーカーのホームページには、塩、pH調整剤、調味料などと書かれていますが、ガイアの夜明けでは他にソルビット、ビタミンE、アミノ酸も入っていました。
このいくつかの添加物を決まった分量で混ぜると軟化調味料になるのでしょう。

しかしこれらの成分表示だけでは、私たち消費者には魚を柔らかくしている成分だとは分かりませんね。成分の後に『(軟化調味料)』などの表示あると分かりやすいかも知れません。

この軟化調味料は牛肉にも魚にも鶏肉にも使われるようです。食品加工の技術は想像以上に進んでいるのですね。
食品業界における技術開発がそうさせているのか、柔らかくて脂が乗ったものを食べたいというニーズが食品添加物をどんどん使わせているのか…どちらとも言えません。

トロサーモン

魚はやはり旬の一番脂の乗った時期に食べたいですね。旬の時期ならお値段もお安いです。
旬でもないのに脂の乗った魚を食したいと思うと、こうして添加物を入れなければならないような無理のかかる事が起きるのだろうと思います。

季節ごとの恵みを喜んで頂いていたら添加物の必要もなく、美味しくて栄養価の高い食材を頂くことが出来ると思います。
旬の時期だけに頂けるものなら余計に味わい深く、感謝して食べられますね。