トランス脂肪酸について

油、脂肪、油脂は太る、体に良くないと勘違いされがちですが、油脂は私たち人間にとってなくてはならない必要な栄養素のひとつです。しかし摂りすぎは逆に良くない結果となるので注意しなければなりません。
そんな中、油脂に関して近年特に注意が必要とされているものはトランス脂肪酸ではないでしょうか。


出典 農林水産省

トランス脂肪酸を摂りすぎると心疾患のリスクがぐんと上がることは、もはや常識となっています。

農林水産省のホームページでも世界各国においてのトランス脂肪酸の規制の取り組み例が紹介されています。様々な国が色々な策を講じ、トランス脂肪酸を減らすべく取り組んでいるのがよく分かります。

農林水産省/トランス脂肪酸に関する各国・地域の取り組み

アメリカでは早くから加工食品の栄養表示が義務づけられ、総脂肪、不飽和脂肪酸、コレステロールに引き続き、2006年にはトランス脂肪酸も表示が義務となっています。またトランス脂肪酸が含まれる油脂の使用規制も決定されました。

日本では 総脂肪、不飽和脂肪酸、コレステロールもトランス脂肪酸も表示されていません。
アメリカと比較しても日本のトランス脂肪酸に対する規制はまだまだ緩いようです。

トランス脂肪酸の表示方法、規制がこれだけ違う中で、カップラーメンのトランス脂肪酸はアメリカでは「0」と表示されていると友人に写真を見せて貰いました。(友人はアメリカに住んでいました)
トランス脂肪酸0.5g未満なら「0」表示が出来るので、0.5g未満は含まれているのかも知れません。それでもアメリカではこれだけ厳しい規制があるということです。

日本のカップラーメンメーカーに問い合わせ

見せて貰ったカップラーメンが日本の大手企業のものでしたので、日本ではトランス脂肪酸はどれぐらい入っているか気になりました。
そこでメールで問い合わせてみることにしました。問い合わせた内容はこちらになります。

実際のカップ麺の原材料はこのようになっています。

麺は油では揚げていないものです。
スープの方に鶏脂、植物油などが使われています。



トランス脂肪酸についてはっきりとした回答なし

朝10時ごろメールを出すと、夕方4時半頃にこちらのメーカーの社員の方から電話がかかってきました。
私の今までの経験では、答えにくい質問の時は大概電話で返事をいただきます。今回もとても丁寧に、でも話し辛そうな感じの沈んだ声でした。

 

内容を纏めると次のようになります。
まず最初に

「トランス脂肪酸というものは主にマーガリンやショートニングに多く含まれているもので、この製品にはマーガリンもショートニングも含まれていません。」

と言われました。
こちらはあくまで太ってきた主人の健康を気遣うという感じで、「ではこのカップ麺にはトランス脂肪酸は全く入っていないのですか?0ということでしょうか?」と訊いたのですが、

「トランス脂肪酸は例えば自然界の牛肉にも存在しています。この製品には特にトランス脂肪酸を添加しているものではありません。」

と、何だかぼやかすような返事です。
「でも確か植物油も使われていますよね。そちらにもトランス脂肪酸は入っていないのでしょうか?植物油は、例えば大豆油とか菜種油などですか?」とも訊いてみたのですが、

「植物油についてはまた担当に詳しく聞いて折り返し電話させて貰っても構いませんか?」

と言われ、5分後にいただいた電話では

「植物油につきましては、企業ノウハウになるので開示はしておりません。」

というお返事でした。

 

植物油の名前を言えないという大手メーカーは以前にもありました。
もしも消費者に知られたくないことがあったとしても「企業ノウハウ」と言えば堂々と隠せますし、メーカー側からすると企業ノウハウは全く都合の良い言葉だという気がしないでもありません。

製品価格から考えると開示できない植物油の正体は、国産の大豆油より低価格の輸入油ではないかと考えられます。ほんのわずかな原料であっても、大手メーカーが毎日生産する数は膨大になるため大きく利益を左右します。

結局今回の問い合わせではトランス脂肪酸が入っているのか入っていないのか、最後まではっきりとした回答は貰えませんでした。
濁すように回答せねばならない社員の方がお気の毒でした。美味しくて健康的な加工食品であったならきっと気持ちよく回答されたことでしょう。

トランス脂肪酸がどれほど含まれているかは分かりませんでしたが、いずれにしてもこのカップラーメンの食品添加物の多さを見ただけであまり良い気はしません。
熱湯を注げば環境ホルモンのビスフェノールAも発生しますし、カップラーメンはあくまで非常時に活躍するにとどめたいですね。