肉と魚ならどっちがヘルシーかと訊かれたら、おそらくほとんどの人が魚と答えるのではないでしょうか。
そのヘルシーなはずの魚に、近年危機が迫っています。
マグロなどの回遊魚には、妊婦は絶対避けるべきメチル水銀などの重金属の危険性がありました。
(詳しくはこちらの記事へ↓
妊婦さんは食べないで。マグロの水銀汚染の実態とは)
その他の魚はどうでしょう。
鮭は日本人が好む魚の上位に入っていると思います。その鮭に危険性が潜んでいることをご存知でしょうか。
抗生物質まみれのチリ産の鮭
以前は日本でもたくさん獲れていた鮭ですが、近年輸入品も多いですね。東日本大震災のあと日本の鮭の漁獲高が減ったこともあり、その割合は増えているようです。
輸入の鮭の中ではチリ産の鮭が一番多く今のところ約4割はチリ産となっています。
チリにはもともと鮭は生息しておらず、海面養殖が成功し人工的に育てています。人工で育てますから過密に飼育される結果となり、大量に入れた餌の食べ残しや鮭のし尿などで海水が汚染される結果になりました。
またその汚染のせいもあるのでしょうか、養殖の鮭に「海ジラミ」が発生して病気を招くこともあり、駆除のための殺菌剤を定期的に投入しています。
出典 NPO法人アジア太平洋資料センター 加工して作成
その他のウイルスやバクテリアに対しても、殺菌剤や抗生物質を投与しているようです。
もともとチリには鮭は生息していなかった訳ですから、それを養殖で育てるとなると無理が生じることもあるのでしょう。養殖の鮭は病気にかかりやすく、これを防ぐ為には最初から餌に大量の抗生物質を入れざるを得なくなります。
出典 NPO法人アジア太平洋資料センター 加工して作成
鮭に使われる抗生物質は主にエマメクチン安息香酸塩とオキシテトラサイクリンです。チリの鮭にはこれらの抗生物質が、基準値を超えて残留している可能性が大ということです。
鮭の身の色を鮮やかにする合成色素アスタキサンチン
またチリ産の鮭の鮮やかな赤色は、餌の中に入れられている合成色素のアスタキサンチンの色です。
天然のアスタキサンチンは、今注目されている抗酸化力のある物質です。
鮭、いくら、えび、カニなどに含まれるベータカロテンの仲間で、抗酸化力の他に、抗炎症作用、動脈硬化抑制作用、がん発症抑制作用、糖尿病抑制作用、ストレス抑制作用などなど…数多い効果が確認されている物質のひとつです。
しかし名前が同じでも、天然と合成では中身が違うということもあります。
合成のアスタキサンチンの有害性を指摘する声はまだ出てきてはいませんが、逆に合成のアスタキサンチンを大量投与された鮭が安全かどうかもまだ実証されてはいません。
抗生物質多様で弊害。耐性菌の増長
輸入の鮭に限らず日本でも増加している養殖魚にも、餌の中に抗生物質や成長促進剤が大量に使われており、それを食べた人に耐性菌が出来てしまうことが心配されています。
出典 農林水産省
抗生物質の使い過ぎで耐性菌ができてしまうと、いざ病気になった時その病気に使う抗生物質が効かなくなってしまいます。
これはチリの鮭だけでなく、日本の養殖魚も同じことです。
食肉に至ってはもっと多くの薬剤を使っているので、これが今後どのように影響を与えるのか消費者としては不安なところです。
(抗生物質の摂りすぎが良くないという話、食肉についてはこちらに簡単にまとめています↓
豚肉に潜む危険性。豚に抗生物質はどうしても必要なの?)
日本の漁業関係者、畜産関係者の方々にはぜひ本当の意味での健康的で豊かな食卓を、私たちに提供して下さる様にお願いしたいと思います。