和食の味の決め手と言えば調味料はもちろんですが、まずは「出汁」ですよね。
日本食では主に昆布からとれるグルタミン酸、鰹節や煮干しからとれるイノシン酸、干し椎茸からとれるグアニル酸の3つが上手く組み合わされることで各々の旨み成分が複雑に、より美味しさを増すのです。

添加物を大量に含むだしに注意

煮物もみそ汁もうどんも蕎麦も、だしの効いていないものはいくら調味料が良くても全然美味しくありません。日本食に欠かせない出汁は、手軽な顆粒状やパックのものがスーパーに並んでいます。

そういった手軽な「だしの素」には危険性が潜んでいることもあります。スーパーで売られているだしの素を見てみましょう。

原材料名を見ると添加物である調味料(アミノ酸等)が最初に書かれており、他の原材料より一番多く入っていることが分かります。(入っている量の多い順に表示されています)
調味料(アミノ酸等)はL-グルタミン酸Naをメインに、56種類の添加物の成分の中からいくつかを組み合わせて作られています。何が何種類入っているかは、私たち消費者には分かりません。

危険性が少ないものでも、その組み合わせでどう化学反応が起きるかは解明されているわけではありません。食品添加物の怖さは、まだその安全性が確立されていないところにあります。
特にこのL-グルタミン酸Naは、それでなければ美味しく感じないようになるなどの味覚問題があったり、大量に摂った時に頭痛や顔面紅潮などの症状が出ることで中華料理店症候群と言われ、問題になっています。
(詳しくはこちらの記事へ↓
化学調味料はなぜ危険?子供の脳への影響に懸念

みそ汁などは毎日のように食べる人も多いですから、調味料(アミノ酸等)が入っているだしの素には注意した方が良いでしょう。



化学調味料が入っていないだしの素の注意点

パッケージに「化学調味料不使用」と書かれただしの素もよく見ます。
例えばこちらです。

原材料名 ぶどう糖、乳糖、食塩、かつおぶし粉末、たん白加水分解物、酵母エキス、こんぶ粉末、しいたけエキス粉末、かつおエキス粉末、でん粉

添加物らしい表示は見当たりません。
しかしたん白加水分解物は食品の扱いとなっていますが、限りなく食品添加物に近い物質です。またその製法によって危険性が生じる場合があります。

製法には2通りあり、たんぱく加水分解物は原料の動植物から酵素を使うか、または塩酸を使って強制的にうまみ成分のアミノ酸を取り出す方法です。
時間とコストを考えた場合、塩酸を使って製造するのが現実的です。しかし塩酸を使う抽出法には問題があるのです。

塩酸を使ってたん白加水分解物を製造する場合、 副産物としてクロロプロパノール類(3-モノクロロプロパン-1,2-ジオール(3-MCPD)、1,3-ジクロロプロパノール(1,3-DCP)など)が生成されてしまいます。

農林水産省の情報によれば、副産物としてクロロプロパノール類のうち3-MCPDは、ラットを使った試験によって健康に悪影響が出る可能性があるとしています。また一日の摂取量の最大量は2μg/㎏体重/日に設定されています。


出典 農林水産省 加工して作成

これは国際的なリスク評価機関であるFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)の認める評価です。
この設定量は一日に2μg/㎏体重/日以下の摂取であれば、健康に被害が出ることはないであろうという数字です。ということは、これ以上だと健康を害するとFAO/WHO合同食品添加物専門家会議(JECFA)が認めている事になります。

もうひとつの1,3-DCPは、ラットの実験により発ガン性が認められています。しかもごくわずかな量であっても遺伝子を傷つける可能性があり、それが引き金となってがんを生じる事を否定できないと結論付けています。摂取量の基準もなく、少しの量でも危険なのではないかと心配されるところです。


出典 農林水産省 加工して作成

化学調味料が入っていないだしの素と書かれていても、すぐ飛びつかずによく中身を見てから購入する方が良さそうですね。



素材そのものだけの原材料を使った「だしの素」

一般的なスーパーより少し良いものを扱っているスーパーや百貨店では、素材のみで出来ている「だしの素」や「だしパック」が数多く揃えられています。ネットでも全て天然素材のだしパックはよく見かけます。
たとえばこちらです。

食塩不使用 料亭仕込み 天然だしの素パック 化学調味料無添加

だしの素やだしパックを使って出汁をとるなら、原材料には注意した方が良いでしょう。でもできることなら自宅で昆布や鰹、椎茸から出汁をとりたいところですけどね。