昔の家屋にはダニが生息し、人を噛んだりしていたようです。
しかし最近ではキャンプでもない限り、ダニに噛まれたなどとはあまり聞きません。
ではこの頃の家屋は衛生的になってダニが全くいないのかと言えば、どうやらそうでもないようです。湿度と高温を好むダニは、現代の家屋にも堂々と生息しています。

家庭に生息するダニは約15種類

ダニはおよそ20000種類ほど確認されており、家に住むダニはその内の15種類ほどとされています。

人を刺したり噛んだりするダニはその内の数種類です。
また、アレルギーを引き起こすと言われているダニは2種類確認されています。コナヒョウヒダニとヤケヒョウヒダニです。(写真を載せるのは控えたいと思います)

ダニ専用殺虫剤の成分はフェノトリン他数種類

お子さんにアレルギーがあるなど、家に生息するダニが気になる人はダニ専用の殺虫剤を使われるのではないでしょうか。では、その殺虫成分はどのような薬剤なのかを見てみましょう。

有名メーカーのダニ専用の殺虫剤です。こちらは畳に差し込んで薬剤を注入するタイプの殺虫剤です。

有効成分 フェノトリン(ピレスロイド系)0.25W/v%、メトキサジアゾン(オキサジアゾール系)0.025W/v%、アミドフルメト(トリフルオロメタンスルホンアミド系)0.2W/v%(原液量200ml)

ピレスロイド系フェノトリンはよく使われる殺虫成分です。フェノトリンに関しては慢性毒性試験データは明らかにされていません。(それでも許可されているのが不思議ですが…)

ピレスロイド系の薬剤は主に、虫に対して中枢神経刺激作用と痙攣誘発作用を起こすものです。私たち哺乳類には一旦吸収されても早い時点で排出されるということで、毒性は低いとされています。

低毒性としながらもピレスロイド系の他の種類の薬剤では、気管に誤嚥すれば化学性肺炎を発症する可能性も否定されていないようです。
大量摂取では、嘔気、嘔吐、下痢、口唇、痙攣など。大量に吸入すれば、くしゃみ、鼻炎、咳 、悪心、頭痛、耳なり、昏睡などが起こるとも言われています。

過敏症の人ならもっと重症です。皮膚炎だけでなくアナフィラキシーショックになることもあります。ピレスロイド系の殺虫剤は人には低毒性とされてはいますが、それでも強力な気がしないでもありません。

販売側の意見では、メトキサジアゾンは有機リン系殺虫剤と比べれば危険性が低いと言われています。ただし低いと言っても安全というわけではありません。

アミドフルメトも比較的最近開発された成分ですが、開発者の話では安全性に優れた室内塵性ダニ防除剤であり、今後の期待が持てるとしています。(開発者が危険だということはまずないという意見もありますが…)



ダニアレルギーの原因はダニ以外にも?

防ダニ製品、防ダニスプレーを買う人の多くは、ダニによるアレルギーを心配してのことだと思われます。
しかしまだ全てが詳しく解明されたわけではありませんが、花粉やダニだけがアレルギーの引き金になるのではないというデータも出ているようです。

アレルギーの原因とされる代表的なスギ花粉やダニは、それ単体ではなかなかアレルゲンにならないと言われています。
一方、そのスギ花粉やダニに有害化学物質が加わることでアレルギー反応を起こすことが分かってきています。(私事ですが、花粉症がなかったのにPM2.5と騒がれ出してから少し花粉症に似たアレルギー反応が出ることがあります)

もともとの目的はアレルギーの元凶のダニを消すことだと思います。
しかし合成的に作り出された防ダニ剤を使うことで、殺虫成分による化学物質過敏症になっていることも十分考えられます。

ダニアレルギーと思っていても原因はダニだけではなかったり、実は化学物質過敏症だったりすることもあるのです。アレルギーの原因が本当にダニだけなのか、防ダニ殺虫剤の薬剤が反応しているのか、見極めることも必要なのかも知れません。

昔の賢人に学ぶ畳干し

今回見たのは3種類の薬剤が入った防ダニの殺虫スプレーでした。
使い方を見れば、ダニが発生した時は1~2週間に一度。予防的には2~4週間に一度の使用となっています。

殺虫成分である化学物質は数日間は効果が持続します。その間は化学物質に体が曝されることになるでしょう。

もし畳のダニが心配ならまずは掃除をこまめにしてみてはいかがでしょうか。また昔の人が毎年やっていたように、夏の暑い日に畳を上げ、日光に数時間干すなども試してみる価値があると思います。
畳干しをアスファルトやコンクリートの上で行うと、畳の中の温度は80度ぐらいまで上がります。この温度ではダニも生きてはいられません。

畳干しは年に2回ぐらいが理想のようです。
春と秋のよく晴れた日に畳干しするのも、薬を頼らない方法のひとつだと思います。