日本の調味料の中でも特に醤油は和食、洋食、中華、フレンチと、どんな料理にも使うことが出来る万能調味料だと思います。

醤油

しかも実は老化防止の作用などもある優れ調味料なのです。
でも近年そんな本来の効用が期待できず、健康にも良いとは言えない醤油も出回っているようです。

古代中国から連綿と続く醤油の歴史

醤油の歴史を紐解くと、醤油のルーツは古代中国に伝わる「醤(ひしお)」だと言われています。
醤には果物、野菜、海藻などを塩漬けにした「草醤」や、肉や魚を材料とする「肉醤」、穀物を材料とする「穀醤」などがありました。醤油は「穀醤」が原型と考えられています。

1254年、信州の禅僧である覚心が、中国から持ち帰った味噌の製法から味噌作りを始めます。
紀州の湯浅の人々にその製法を教えていくうちに、「醤」から浸み出す汁の旨みに気付き、醤油の元となる液体のたまり醤油ができました。

紀州、湯浅ではその後も醤油作りは発展し、1580年ごろには日本で初めての醤油屋が登場します。

醤油づくり
出典 しょうゆ情報センター

という事で、元々は中国の「醤(ジャン)」が日本で醤油に生まれ変わった訳です。

もう日本人は400年以上醤油を食卓で使ってきたことになります。この歴史の深さを見ると、醤油はソウルフードならぬソウル調味料ですね。
日本人の体の60兆個の細胞が、生まれた時から醤油を受け入れる体制にあると言ってもいいかもしれません。

しかしながら昨今、この歴史の流れに逆らうような作り方の醤油が多く出回っているのです。



本物の醤油は完成までに1年以上

本来醤油の材料はこの3つだけです。

大豆、小麦、塩

これに種麹を加えます。

醤油作りの大まかな流れはこうです。

蒸した大豆と炒って砕いた小麦に種麹を混ぜます。
これに食塩水を混ぜて諸味にし、さらに食塩水を加え、熟成した諸味になってこれを絞ったものが醤油になるんですね。
仕上げに火入れをし、びん詰めすれば、食品売り場で目にする醤油の出来上がりというわけです。

醤油

一番ポピュラーな本醸造方式の作り方では、諸味を作ってから寝かせる期間は最低でも6~8か月となっています。
寒い時期に仕込み、暑い夏に発酵のピークを迎えます。

本物の濃口醤油なら2年程の年月がかかり、たまり醤油なら3年程の時間がかかります。
美味しい醤油を頂くことは、本当に価値のある事なんですね。

しかしそうではない醤油が出回っています。
速醸法という技術により、最短20日で出来てしまう醤油があるのです。

本来の醤油には有益な微生物が豊富だが…

速醸法では、脱脂大豆に塩酸を加え、高い圧力をかけながら撹拌し、加水分解処理をします。するとうまみ成分の強い溶液ができあがります。

この製法では4か月程度あれば醤油になるものや、たった20日で出来上がるものも出てきます。
これらの醤油の原料は次のように書かれているのが大半です。

脱脂加工大豆、醸造アルコール、調味料、PH調整剤、甘味料、カラメル色素

どこにも本来の醤油の原料の大豆、小麦、塩の表示は見当たりません。

醤油 製造

本来の醤油のなら2年、3年の年月をかけ、1mlあたり数千万個の微生物が存在するとも言われています。
この大量の微生物は、体の中でとても有益に働いてくれるのです。

たとえばお腹の中にいる腸内細菌の中の、善玉菌と呼ばれる体に有用な細菌の代表は、ビフィズス菌と乳酸菌です。よく耳にしますよね。
ビタミンを合成したり、消化を助けたり、感染から防いでくれたり、免疫に働きかけたりして、健康維持や老化を防ぐ働きがあります。

この微生物である善玉菌のビフィズス菌や乳酸菌がたくさんいるから、私たちは食べ物を摂っても消化吸収出来て、健康を維持できているのです。
これらが少なければ、大切な栄養を摂りいれることが出来ません。

ビフィズス菌や乳酸菌が、とても大事で有用なことが分かります。

丁寧に作られた醤油の中には、麹菌をはじめ、酵母と乳酸菌が豊富です。
料理に醤油を使う、刺身をわさび醤油で頂く、漬物に醤油をかける、ドレッシング、ポン酢に使う…という様々な利用で、酵母や乳酸菌といった日々体に必要な微生物を補っているのですね。

醤油 寿司

速醸法ではこのような大切な微生物は育つことは出来ません。
醤油ではなく「醤油風の調味料」なのです。スーパーの特価に並ぶのはこの製法の醤油です。

原料に

脱脂加工大豆、醸造アルコール、調味料、PH調整剤、甘味料、カラメル色素

等を入れ、無理に醤油に似せているだけなのです。
脱脂大豆については、遺伝子組み換え、ポストハーベスト、ヘキサン抽出などなど、問題が山ほどあります。

(遺伝子組換えについてはこちら
「遺伝子組換えではありません」は本当?穴だらけの表示義務
(ポストハーベストについてはこちら
危険な農薬ポストハーベスト!「防ばい剤使用」にご注意

美味しくて体に有益な醤油を提供しているメーカーさんは全国にたくさんあります。安全な食材を扱うお店でも購入できますし、各々のメーカーさんで微妙にお味も違っていて、頂く楽しみもあります。
それに2年も3年も製造に時間が掛かっているのに、お値段はそれほど高くはありません^^

【職人醤油】近藤醸造五郎兵衛醤油


毎日のように使う醤油ですので、美味しくて体に良くて、安心なものを手に入れてみて下さいね。