京都府城陽市にある城陽酒造株式会社さんで、酒造りの見学会と試飲会があると言うので行ってきました。
酒作りなんて初めてで楽しみです^^
こだわりの純米吟醸生原酒「自然酔」
今回は安全農産オリジナルの「自然酔(しぜんすい)」を作られている杜氏さんが製造工程を順に追って、丁寧に説明して下さいました。
今回見せて頂いた「自然酔」の原料となる米は有名どころの山田錦です。
ラベルを見ても分かるように完全無農薬の有機栽培の山田錦100%を使い、火入れはせず無濾過の原酒です。
山田錦の生産者は谷口成生さん。杜氏は古川興志次さん。
ここまで生産者さんのお名前が分かるラベルってあるでしょうか。ステキですね。
純米吟醸生原酒の製造工程
今回 、杜氏の古川さんが説明をしてくださいましたが、山田錦生産者の谷口さんも見学にいらっしゃってました。
山田錦は酒米の中でも大きな種類で、自然酔に使うためにまず55%まで削ります。
その後丁寧に洗って、必要な時間水につけたら今度は蒸します。
蒸した米は、麹菌をまぶしたら 室で30度~35度に保たれ、2日後には米麹になります。
この米麹と水と蒸した米を混ぜ、じっくりと酵母を増やしていきます。この間に米のタンパク質がでんぷんに変わり、でんぷんはアルコールに変化していきます。
最終的に、下の写真のタンク内では、1cc当たりの酵母の数は10の8乗の数になると杜氏の古川さんは仰っていました。
いったい誰がどうやって数を調べたんでしょうね、すごい数です。
この酵母の数を見ても、日本酒が素晴らしい発酵食品であることが分かります。
酒造りは原料を吟味することも大事ですが、生きている麹菌が活発に働けるよう、仕込む時などの温度管理が更に重要な要素となっています。
その為に寒い冬場に原酒を仕込むので作業は早朝5時から始めるそうです。本当に大変な作業なのですね。
今年の新酒を利く
自然酔は数日前に完成していましたが、この日は他の樽の酒が出来上がっており丁度絞っている最中でしたので、この出来立てのお酒を試飲出来ました。
(正確には酒税法の関係で飲むとは言わずに「利く」と言うのだそうです)
利き猪口に入れた写真です。
少し黄色く色がついて見えませんか?
日本酒は本来薄く色がついているのだそうです。
店頭で販売されている無色透明な日本酒があれば、それは無色透明になるように色を抜いているからだとか…そんなことが出来るんですね、びっくりです。
こちらではこの紺色の丸い模様の利き猪口を使われています。
利き猪口に紺色のラインを入れることで、日本酒の色を見るのだそうです。
ですから城陽酒造さんでは酒の色が分かりやすいよう、いつも決まったメーカーの利き猪口を使うのだそうです。
そんなところまで気を遣って酒造りをされているんですね。
純米吟醸生原酒「自然酔」試飲会
この後は今年の出来上がった自然酔と、ここ数年間の自然酔の試飲会となりました。
ずらっと並んでいます。
と思ったら、参加者のカバンのあっちこっちからお酒のつまみが出てきます。
アリモトの玄米セラピーに手作りのふき味噌にゆず大根。
もう何度も来られている方たちは、飲む準備万端という感じですね。
4代目城陽酒造の代表者にインタビュー
皆さんの試飲の間に城陽酒造の代表者の島本さんにもお話を伺うことが出来ました。
ここ城陽酒造は明治28年の創業で今年で121年目になる蔵元です。4代目となる島本さんは見るからに雰囲気も優しい方でした。
121年って凄いですね!と思わず言うと、「京都伏見と比べるとまだまだですよ」と、とても謙虚なお返事を頂きました。お人柄が表れますね。
素人の私の単純な質問にも快く受け答えしてくださいました。
この自然酔に使う山田錦は完全無農薬有機栽培で、生産者は谷口成生さんです。
まず完全無農薬有機栽培の場合、米の収穫量は農薬を使った場合の80%近くに減るそうです。
その上玄米から55%に削るわけですから、ひとつのタンクに700㎏~1000㎏の米が入ることを計算すると、その倍程の量の米が必要となります。
生産者の谷口成生さんは、相当なご苦労で山田錦を作られていると絶賛されていました。
私は55%に削った残りはどうなるのかとても気になっていたのですが、玄米を白米にした時に出来る米糠(約10%)は家畜の飼料になるそうです。
そして残りの削った部分は米粉を使ったお菓子や、最近では米パンの原料として使われるそうです。
せっかくの無農薬の山田錦が無駄なく使われると聞いてほっとしました。
自然酔は安全農産だけのオリジナルの純米吟醸生原酒ですが、城陽酒造では他の製品もほとんどが無濾過で火入れをしていない生のお酒ばかりです。
珍しい古酒も作られていますよ。
冬場は一般にも蔵の見学もされていますし小売販売もありますから、機会があれば一度行ってみられてはいかがでしょうか。