前回お話しした環境に配慮した紙であるという証明のFSC認証の他にも、ベジタブルインキというものがあります。

ミックス ベジタブルインキ

上の画像はFSC認証のマークとベジタブルインキのふたつが印刷された冊子ですね。今回は、環境に優しいベジタブルインキのご紹介です。

大豆が主成分のベジタブルインキ

ベジタブルインキは、名前通り、野菜のインキです。主に大豆から取った油を使ったインキですね。
印刷インク工業会によれば、環境対応型平版インキの代表的なものは、大豆油インキ、ノンVOCインキ、UVインキ等があるそうです。

植物油インキ
出典 印刷インキ工業連合会 加工して作成

その中で大豆油によるインキは日本においては1990年半ばから普及し、現在平版印刷の70%はこの大豆油による印刷が占めています。

大豆

大豆以外にも、植物油として亜麻仁油、桐油、ヤシ油、パーム油等の植物由来の油も原材料になります。また、これらを主体とした廃棄用油をリサイクルしたものも原材料になります。

原材料を大切にして廃棄用の油をリサイクルし、また石油とは異なり、植物由来なので再生可能であることが重大な特徴です。
つまり、石油は掘り尽くせば無くなる資源ですが、植物由来なら種を蒔けば、またインキの素となる大豆などの植物が育つという事です。枯渇することがないのですね。

育つ植物

これは資源を考えたうえでとても素晴らしい事だと思います。

また印刷インキ工業連合会では、食料として使える大豆を工業に回すことはは食糧不足の地域がある中で良くないと考えているそうで、植物油でも食糧に使わない油や、一度使って廃油になった油のリサイクルに力を入れるように考えているそうです。これもステキな考え方ですね。



VOC対策に少し貢献

また経済産業省のサイトにVOCについての記載があります。

VOC
出典 経済産業省 加工して作成

VOCとは揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds)のことです。

石油化学薬品であるペンキなどの塗装材料や印刷インキは、それを使う事でVOC…つまり揮発性の化学物質が大気中に拡散し、太陽の光と反応して、光化学スモッグの一因となると言われています。これは怖い事ですね。

光化学スモッグ

しかし、ベジタブルインキは、このVOC対策に貢献していることになります。100%全てを石油から作ったインキよりも植物を使っているベジタブルインキの方が、使った分だけはVOCを削減することになります。

しかしベジタブルインキとは言ってもVOCを100%削減することは難しく、植物を使った分だけに限定はされますが、それでも100%石油よりずっとVOC対策できますね。

ベジタブルインキを使っている商品では、例えばこんなものがあります。

ベビーブーバ babybuba ギフト ベビーケア オーガニック

20年ほど前から全くVOCを排出しないインキも出てきているそうですが、コストが高くてインキ全体から見るとまだまだシェアは少ないのが現状です。
広がらない理由はやはり値段の高さが一番の理由なんですね。

VOCを全く出さずに価格の安いインキが開発されたりして、安心できるインキがもっと増えるといいなと思います。

そして印刷物を選べるのなら、そういった環境に配慮したインキを使っているものを、私たち消費者も選んで協力していきたいですね。