日本では農薬として認めていない、可食部にまで浸透する危険なイマザリルオルトフェニルフェノール(OPP)、チアンベンダゾール(TBZ)
輸入物の農作物に使われている事を前半ではお話しました。

前半はこちら→危険な農薬ポストハーベスト!「防ばい剤使用」にご注意 前半

ポストハーベスト 防ばい剤

輸出元であるアメリカや南アフリカでは、これらの農薬は国内での使用を禁止しています。(なのに輸出向けには使って良いのですね)

そんなポストハーベストにどれ程の危険性があるのかは、前半で話した通りですが、なぜこんなにも危険な成分の使用が許可されているのか、その理由と、またどう回避したらいいのか見ていこうと思います。

なぜ収穫後にも農薬を使うの?腐らせないように売る側も必死

防カビ剤(OPP 、TBZ、イマザリル)はポストハーベストと呼ばれるものです。
ポストハーベストは、ポスト(後)ハーベスト(収穫)という意味で、名前の通り、野菜・果物を収穫した後に散布される農薬のことを言います。主に防カビ、殺菌のために使われます。

日本の法律ではポストハーベストは禁止されているので、国産の作物には使われていません。しかし、輸入される農作物ものは違います。

農作物はどれも生です。生の農作物をそのまま放置していたらどうなるでしょうか。
多くの農作物は、コンテナに入れられて、船で数週間もかかって日本に到着します。

貨物船

日にちがかかれば農作物にはもちろん、腐る、カビるという心配が出てきますよね。そこで腐らないように農薬をかける必要性が出てくるのです。

じゃあ、早く到着する飛行機で運べばいいのでは?と思うかもしれませんが、とんでもありません。
飛行機を使えば莫大なコストがかかり、ものすごく高い農作物になってしまいます。そうなると消費者は買えなくなるでしょう。コストを考えるとどうしても船便になってしまうのです。

そして外国では農作物を輸出する際に腐らないよう、ポストハーベストと呼ばれる農薬を使うのです。



実にまで浸透する農薬が許可された理由

ポストハーベストは1977年代、日米の柑橘類の輸出輸入の件で、現厚生労働省がOPPおよびTBZ(チアンベンダゾール)使用の柑橘系を輸入しないように警告を出したことが発端になり、アメリカ政府から強く使用を認めるように圧力をかけられました。

アメリカ国旗

日本国内の消費者の多くの反対があったにも拘らず、1977年4月30日に、農薬ではなく食品添加物としてOPPを認可しました。

これは当時「日米レモン戦争」と呼ばれました。アメリカの圧力に負けてしまったのです。
もともと日本政府も危険な農薬だと分かっていました。政治の犠牲になったのがこのポストハーベストなのです。

日本のどのスーパーに行っても、ポストハーベストであるイマザリル、OPP、TBZを使っているものは、必ず表示されています。表示が義務づけられているからです。

それは日本政府が消費者に、この3つは危険ですよと警告しているに他なりません。
表示よって消費者に警告しているのです。

ポストハーベスト 防ばい剤 使用

ポストハーベストのような化学的な成分は、モノによっては皮膚を通して体内に入ってきます。これを経皮吸収と言いますが、ここを考えると触る事すら怖いですね。
(経皮吸収という性質はニコチンパッチや湿布など、医療でも幅広く活用されています。詳しくはこちらの記事へ↓
経皮吸収ってなに?日用品や化粧品が肌から浸透してるの!?

果実に成分が染みこむことも実験の結果わかっていますから、食べるのも怖いことだと思います。

 

ポストハーベスト 浸透
出典 福岡市 加工して作成

食べる・触るのは十分な注意を!&回避する方法

これほど多くの危険性が分かっていても、政治的な背景が絡み、ポストハーベストは許可されています。

ひとつひとつが危険な上に、ほとんど単独で使われることがなく、他の農薬と組み合わせて使う場合も多いです。そうすると危険性はさらに高くなりますよね。

ポストハーベストの薬剤は、発癌性などの疑いがある事実。
外から噴霧していても、中の果実にまで成分が浸透してくる事実。
少し洗えば有害成分が流せるわけでもなく、手に持つだけで体の中に入ってくるかもしれない事実。

これらを考えると、海外輸入の柑橘系は安易には手が出ませんね。

我が国に輸入してきたアメリカ産のオレンジには、表面に付いたポストハーベストが中にまで染み込んでいる可能性があります。

オレンジ

柑橘系の果物なら日本の美味しい温州ミカンがありますから、そちらを召し上がるのが良いと思います。もしジャムやマーマレードを作るなら、国産の材料で作るのがいいですね。

ジャムに関してもうひとつ。

作るのが面倒なら、輸入品のアメリカ産のジャムやマーマーレードを買う方が良いでしょう。
アメリカでは、輸出品以外はポストハーベストに使っている農薬を全面使用禁止にしていますから、それらに関しては安全と言えるからです。
皮肉なものですね。