輸入される野菜や果物で、ポストハーベストが危ないと聞いたことはありませんか?
スーパーの輸入オレンジやグレープフルーツの売り場に

防ばい剤(防カビ剤)(OPP ,TBZ ,イマザリル)を使用しています


と書いてあるのを見たことはないでしょうか。

OPP TBZ  イマザリル

これの意味ですが、実は触るだけでも体内に侵入する有害成分が使用されているということです。



防腐剤ポストハーベストの種類と毒性

ポストハーベストは農作物が腐るのを防ぐため、収穫後に使用される農薬のことです。今回はその内容を見ていきます。
その前に、いかにこの防腐剤が強力なのかを先にお伝えしたいと思います。

ポストハーベストは、とても強力な農薬です。野菜や果物の表面にふりかけるのですが、表面だけに作用するわけではありません。ポストハーベストは表面だけでなく、果肉の部分にも浸透していくのです。
こうなるとちょっと水で洗い流しただけでは、ポストハーベストを取り除くことはできません。

 

ポストハーベスト 浸透
出典 福岡市 加工して作成

 

ポストハーベストは可食部に浸透するほどの小さな化学物質です。そうと気づかず食べてしまうのも考え物ですが、皮膚を通して体内に成分が浸透する経皮吸収を考えると触るのもためらわれます。
(経皮吸収という性質はニコチンパッチや湿布など、あらゆる医療でも活用されています。詳しくはこちらの記事へ↓
経皮吸収ってなに?日用品や化粧品が肌から浸透してるの!?

イマザリル…農薬としても認められないほど危険

イマザリルは防カビ剤のひとつですが、日本では農薬としては認めていません。認めるには危険すぎるためです。にもかかわらず、主に柑橘類やバナナ用の防カビ剤として食品添加物の扱いになっています。

イマザリル 使用

先に少し触れましたが、表皮に塗布したにも拘らず、果実の中にまで成分が浸透する事が判明しています。これを食べるということは、イマザリルを食べている(=飲みこんでいる)ということです。
飲みこんだ場合は有害であると、厚生労働省では注意喚起をしています。

イマザリル (1)
出典 厚生労働省職場のあんぜんサイト 加工して作成

 

また妊娠への影響、肝細胞への影響が実験の結果から認められています。

 

イマザリル (2)
出典 厚生労働省職場のあんぜんサイト 加工して作成

 

日本でも農薬として認めるには危険すぎるとされ、食品安全委員会では「皮膚、衣類に付着した場合:汚染した衣類をぬがせ、皮膚を多量の水と石けんでよ く洗い、付着した農薬を除去する。洗浄時間は最低 15 分必要。」としてます。

 

イマザリル
出典 食品安全委員会 加工して作成

 

しかし皮をむく時に絶対皮膚に触れますよね。そのたびに15分も手を洗う人などいるのでしょうか。
輸出元の国々が自国での使用を禁じていることからも、イマザリルやOPPがどれほど危険性があるか察しがつくと思います。

オルトフェニルフェノール(OPP)…国も認めた危険成分

OPPの正式名はオルトフェニルフェノールと言い、殺菌剤、防カビ剤の一種です。

opp 使用

日本では農薬として今は認可されておらず、食品添加物という位置づけにあります。一部の割り箸や巻き簾などにも使われています。

ポストハーベストなので食品添加物扱いですが、これは旧厚生労働省の表示指定成分のひとつです。つまり、かつて何らかの悪い影響が出た成分です、と国が認めた危険成分ということです。
(表示指定成分について詳しくはこちらの記事へ↓
表示指定成分って何?医薬部外品に書かれる成分とは?

OPP(オルトフェニルフェノール)は主に噴霧か塗布する方法で使用され、SOPP(オルトフェニルフェノールナトリウム)は水溶液の状態で噴霧か浸漬して使用されます。どちらも防黴剤の目的で使われます。

 

オルトフェニルフェノール OPP
出典 内閣府食品安全委員会事務局 平成 23 年度食品安全確保総合調査 加工して作成

 

ラットによる実験では、多くのラットに膀胱ガンが発生しています。OPP-Naでも、多くのラットに膀胱や腎臓の癌が発生しています。

通常であればこの結果により使用禁止になるところが、OPPはそうはなりませんでした。

再度、厚生省で実験を行い判断するという異例の事態となり、(アメリカの当時の大統領がこの件で日本にやって来ました)厚生省の国立衛生試験所(現国立医薬品食品衛生研究所)での再試験で、発癌性は認められないとの結果を出しました。

動物実験で一度は発がん性が認められたにもかかわらず、発癌性が全くないというこの結果は信じ難いものです。

チアンベンダゾール(TBZ)…食品にも使われる工業用の防カビ剤

チアンベンダゾール(TBZ)は殺菌剤、防カビ剤の一種で、日本においては今も使われている1972年に農水省に認可された農薬です。

TBZ (チアンベンダゾール)

動物実験では顕著な肝硬変や流産、胎児の異常など、様々な症状が見られました。

 

チアンベンダゾール(TBZ) (2)

チアンベンダゾール(TBZ) (3)
出典  食品安全委員会 加工して作成

 

ある実験では染色体への影響が出たとされています。

 

チアンベンダゾール(TBZ) (5)
出典  食品安全委員会 加工して作成

 

ヒトによる知見では、吐き気や嘔吐などが共通して観察されています。

 

チアンベンダゾール(TBZ) (6)
出典  食品安全委員会 加工して作成

 

安全だと思うには苦しいチアンベンダゾールですが、食品添加物として1978年に認可もされています。特に妊娠中の女性には注意が必要です。

農薬が果実にかけられる様子を撮影した動画を見つけました。
ご参考にどうぞ。

出典 食品と暮らしの安全基金

後半ではOPP、TBZ、イマザリルのような危険な成分がなぜ許可されたのか、その理由や、これらの危険な成分を避ける方法はないのかを見ていきます。

後半はこちら→妊婦さん必見!危険な農薬ポストハーベスト「防ばい剤使用」にご注意 後半