最近見かけるもので、これってどうなんだろうと思うものがあります。

玄関や窓にぶら下げるタイプの、虫が家の中に入ってこないと謳われている空間虫除け剤です。面白いCMであっという間に世間に広がった気がします。あちらこちらのお家の玄関などにぶら下げられているのを見かけますが、あれで本当に虫が寄ってこないのでしょうか。

空間虫除け ハエ

成分は一体何なのでしょうか?

これじゃ空間虫除けの意味がないのでは?

調べてみたら各メーカーで、いろんなタイプの物が出ていますね。玄関用、窓用、キッチン用、ペットがいる部屋用等々、種類の数にびっくりです。
その中でも代表的なものを見てみました。成分を見てみたらこちらもびっくり。

吊るだけ、置くだけ虫よけ

まず、適用害虫ですが、ユスリカ、チョウバエとなっています。確かに蚊とハエではありますが、蚊やハエが嫌な人は刺されると痒くなるやぶ蚊等や、怖い病気を引き起こす可能性のある蚊の侵入を防ぎたいのではないでしょうか。

しかし空間虫除け剤の効果のある蚊は、人間に刺さないユスリカという蚊なのです。

では、ハエはどうでしょうか。
ハエだったら、食べ物に群がるようなハエを防ぎたいのではないでしょうか。

しかしこちらも、風呂場などに生息する小さなハエにしか効果がありません。この類のハエはハエ症を引き起こす可能性も言われていますが、傷を放置したりせず、身体も環境も清潔にしていれば大丈夫なものです。

あれだけ宣伝していながら、実は体を刺す蚊や、食べ物に群がるハエには全く効果ないのでは、少し騙されたように感じるのは私だけでしょうか。
しっかりパッケージを確認しない自分も悪かったのかなとも思いますが、誇大広告のような気もします。



景品表示法違反で措置命令が下される方向に

誇大広告だなぁと思っていたら2015年1月17日の新聞で、消費者庁がこれらの製品が景品表示法違反(優良誤認)で措置命令を出すことを検討していると載っていました。「空間用虫よけ剤4社に措置命令検討 消費者庁」などで検索するといくつかヒットすると思います。

以前CMで画面右下の方だったか、ユスリカとチョウバエに効くことが小さな文字で書かれるように変わっていました。とても小さな文字でした。

これらの製品は風通しがよければ、薬が拡散してしまって効果はほとんどなく、そんなに風が吹いていない場合だけ、虫除け剤回り15センチ程度の空間だけ虫除け効果があるそうです。と言うかその程度しか効果ないのですね。これでは窓にいくつもぶら下げないと効果は期待できず、しかも効果があるのはユスリカとチョウバエだけです。

空間虫よけ剤

ピレスロイド系の薬剤は管轄によって用途が変わる

使われている薬剤はピレスロイド系の農薬で、よくタンスに入れる防虫剤や、雛人形にも使われているものです。

ピレスロイド剤についての毒性ですが、人の経口致死量は10~100gだそうです。しかし、防虫シートなどに含まれる量は微量であるため、ほとんど問題視されていません。

ところでピレスロイド系の薬剤は、管轄によって使い方と表示の仕方が異なってきます。

厚生労働省の管轄の医薬品、医薬部外品の中では害虫駆除として使われています。
経済産業省では化粧品の分類となり、シロアリ駆除などの害虫駆除として使われます。
農林水産省の動物用医薬品及び医薬部外品では、犬猫のノミや家畜に有害な虫に、そして農薬としても使われています。

それぞれの管轄でこんなに表示が違っているのでなんとも不思議な気がしますが、どちらにしても虫を殺す薬である事は確かです。

エムペントリン 用途
出典 東京都生活文化局消費生活部 加工して作成

たとえ期待した蚊やハエに効果があったとしても、その近くにいたり、あるいは密閉された室内だったりしたら、随時鼻から、眼から、呼吸として、吸い続けていると思うと嫌な気がしますよね。私はシロアリ駆除にもなるような薬はいくら濃度が薄いとしても、嗅ぎたくはないと思ってしまいます。

自宅で出来る簡単な虫除け方法

自宅のまわりは夏になるとけっこう蚊が飛んでいます。大事な愛犬がいるので蚊に刺されないように気をつけています。
基本的に蚊はちょっとの水たまりでもボウフラが発生するので、まずは水が溜らないように気をつけます。意外な落とし穴は植木鉢の受け皿らしいので…

そしてうちでは植木のところどころに「蚊取草」というゼラニウム系の草を置いています。

蚊取り草

この草はハーブ系の植物です。ちょっと触るとアロマのゼラニウムのような匂いがします。

人には嫌な匂いではありませんが、虫はこの匂いが嫌いなようです。これを置きだしてから、ぐっと蚊の数が少なくなりました^^
虫対策にはこういう方法も有効かと思います。