生き物の世界では雄と雌の割合はほぼ1:1になっていると思います。
不思議ですが、どの種も雄の方が綺麗で目立つように出来ていると思いませんか?雌の方が絶対地味な感じです。
それだからでしょうか。人間の女性はどの地域でも昔から化粧をするものでした。女性の美の追求は、古くはクレオパトラや小野小町、楊貴妃の頃から…というより、それよりもっと昔からあったものと思われます。
口紅は古くは紀元前1200年ごろからあったようです。
日本では毎年各メーカーから春の新色だとか秋カラーだとか銘打って、様々な口紅が登場します。
大手メーカーさんの口紅一本当たりの定価は概ね3000円程度でしょうか。これは私が高校生だった頃と同じ価格です。(随分昔ですね^^;)何十年もほとんど価格が変わらないのはすごい企業努力だと思います。
一体どんな材料を使えば値段を据え置きで作れるのでしょう。これは調べてみる価値がありそうです。
危険性高し 不安要素だらけの成分
大手有名メーカーの口紅を見てみました。
調べてみたら想像よりも種類が多すぎて正直驚きました。一種類のブランドで数十種類のカラーバリエーションかと思いきやブランドだけでも数種類あり、その中にそれぞれ数十種類のカラーに分かれています。
まず一つ目のブランドを見てみます。心を揺さぶる謳い文句で、ぐっとくる製品です。つやが縦じわをカバーし、保湿までできるようです。
カラーによって少しずつ内容は異なりますが、多くの成分名が羅列しています。
安息香酸Na、BHT、香料、は、ちょっと安全性にこだわる人ならよく知っている危険な成分でしょう。これらは表示指定成分です。
表示指定成分とは、アレルギー等の肌トラブルを引き起こす恐れのある成分のことです。表示指定成分を使用した場合は、その成分を表示することが義務付けられていました。(現在はすべての成分を表示するように法律が変わり、どれが危険な成分なのか分かりにくくなっています)
とにかく「気をつけて使用して下さい」という危険な成分を表示指定成分と言います。
(表示指定成分について詳しくはこちらの記事へ↓
表示指定成分って何?医薬部外品に書かれる成分とは?)
ところで、口紅ってうっかり舐めたりして口の中に入ることはありませんか?
飲食後は塗りなおします。ということは無意識のうちに、食べ物や飲み物と一緒に飲み込んでいるのではないかと思います。そんな口紅に表示指定成分が入っているとは怖いことです。
安息香酸Na、BHT、香料について少し詳しく見ていきましょう。
安息香酸ナトリウム
安息香酸Naは人によってはアレルゲンとなりうる物質であり、様々な動物実験の結果から、人に対する遺伝毒性作用も否定できないとされています。
出典 国立医薬品食品衛生研究所 加工して作成
この他にも数えてみると43種類の化学物質が入っていました。口紅一本にこんなに化学物質が入っているんですね。界面活性剤や酸化防止剤等、数多くの成分が入っています。
何度もまたは長期に使って抱えるリスク
BHT(ジブチルヒドロキシトルエン)は国際化学物質安全性カードでは、何度もまたは長期の皮膚への接触から、皮膚炎や肝臓への影響を引き起こすとされています。
出典 国際化学物質安全性カード 加工して作成
水生生物に毒性があると書かれており、別の項目にはこの物質を環境に放出しないようにと注意を促しています。しかし、メイクは多くの場合メイク落としで落としますし、その際河川に流れていきます。大丈夫なのでしょうか?
また人に対する知見では接触性皮膚炎の誘発が見られるなど、疾患の原因物質であると結論付けられています。
出典 日本医薬品添加剤協会 加工して作成
日本でも、ルーマニア、スウェーデン、オーストラリアでも食品での使用は禁止となっています。
出典 Wikipedia 加工して作成
人体、環境に悪影響の香料
香料は人にも環境にも悪影響の成分です。人への影響として、脂肪や母乳に蓄積し、授乳を通して赤ちゃんにまで移行することが分かっています。
出典 熊本大学大学院自然科学研究科 加工して作成
また、複数の成分をひとまとめに表示する一括表示が認められています。つまり「香料」とだけ書かれた中には何種類もの成分が含まれているのです。
最低でも2種類は必ず含まれています。何がどれだけ含まれているのか、消費者には知る由もありません。
(一括表示について詳しくはこちらの記事へ↓
一括表示とは!?知らずに健康を損ねる前に知るべきこと)
食品非認可のタール系色素を食事と共に食べている?
表示成分以外にも危険性のある成分は入っています。
口紅なので当然ながら、綺麗に発色させねばなりません。この製品に使われていた色素はタール系色素でした。この色素もまた要注意成分です。
今回は青1、赤202、赤201、黄4、黄5の5色のタール系色素が使われていました。
他のブランドの口紅も見てみましたが、使っている化学物質の数は全部で50種類。
この製品に使われていたタール系色素は赤218、青1、赤202、赤201、黄4、橙201の6色でした。
タール系色素は表示指定成分です。国が危険だと認めている成分です。
そんな中で、食品に使う許可がされているタール系色素は12種類だけです。
認められているからと言って決して安全なものではないですが、しかしながら食品にはこれだけしか認められていません。他は食品に許可できないほど危険なわけですね。
一方化粧品に許可されているタール系色素は、実に83種類に及びます。今回見ている口紅に使われている青1は、EUでは使用が禁止となっています。
食用黄色4号、5号と書かれているものであっても使用が禁止されている色素もあります。口紅で使われるようなタール系色素の多くは明らかな発ガン性物質であるとする専門家も居ます。
口紅は食事と共に口に入ってくる可能性があります。毎食後塗り直すことを考えると、それとは知らずご飯と一緒に食べてしまっているはずです。
食べものには使用禁止のタール系色素が口紅に使われていて、その口紅を食べている可能性も否定はできません。
日本で許可されているからという理由だけで安全と決めるのは怖い気がします。
たったひとつの国でも「これは危険だ」と判断しているなら、100%安全とは言い切れないのではないでしょうか?
もしかしたら、その成分には病気になってしまうリスクが隠れているかもしれないのです。
皮膚から体内へ侵入する成分
日本には化粧品に使っても良いとされるタール系色素は、83種類もあります。
口紅は食べ物ではないという見解から許可されているのでしょうが、誤って食べ物と一緒に食べてしまう事もあるでしょう。
また、タール系色素は石油から出来た化学物質です。唇に塗れば皮膚を通して体の中に経皮吸収されてしまいます。
経皮吸収とは、皮膚を通して何らかの成分が体内へ入ってくる現象で、ニコチンパッチや湿布などとして医療でも利用されている作用です。医療のように意図して経皮吸収するには問題ありませんが、口紅の成分など、気付かないうちに何かを経皮吸収してしまうのは危険性がないとは言い切れません。
(経皮吸収について詳しくは関連記事へ
経皮吸収ってなに?日用品や化粧品が肌から浸透してるの!?)
これは、タール系色素に限りません。
分子の小さい化学物質は、全て経皮吸収されるのです。
安易に謳い文句だけで口紅を選ぶのは危険です。
本当の健康的な美しさを追求するなら、心も安心できる口紅という選択があります。
タール系色素及び石油化学成分を使わない口紅を扱っているところは、いっぱいありすぎて紹介しきれません。でも参考までにひとつ、ご紹介しておきますね。
ご自分にあった口紅をゆっくりと吟味して探してください。
但し、キャリーオーバーには注意が必要です。
(参考記事…キャリーオーバーとは?表示を免除される成分たち)