世界的に見ても日本人の綺麗好きはかなり意識の高い方だと思います。
毎日お風呂に入って体を洗い、シャンプーもするでしょう。顔を洗う時は洗顔料を使うし、歯磨きでは歯磨き粉を使います。
エスキモーは、一生に一度しかお風呂に入らないと聞いたことがあります。まあこれは極端な例ですが、とにかく日本人は綺麗好きな国民です。
この綺麗好きな気質が創り出したのではないかと密かに思っている製品があります。それは抗菌加工された製品群です。
抗菌加工や抗菌防臭加工の響きは、確かに綺麗好きの日本人には安心できる響きだと思いますが、果たしてそうなのでしょうか?
そこに危険は潜んでいないのでしょうか?
肌トラブルの元になる抗菌加工
今や抗菌加工は様々な製品に使われています。
まずは繊維製品全般。
建築資材の壁紙、床材などやカーテン、カーペット、車から一般生活用品まで、ありとあらゆる製品に使われています。
特に繊維関係では、SKEマークがつけられたものが国際基準になっているものまであります。
出典 nacs |公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会
抗菌加工は菌を殺すのではなく、増殖を防ぐ為に加工されます。
菌の繁殖を抑えるというのは清潔で良さそうなイメージです。
しかし繊維製品について考えてみると、皮膚に密着することが多いですよね。
肌に多く触れることになる肌着や靴下だったり、シャツ、ブラウス等に加工していきます。
抗菌加工、抗菌防臭加工の目的は、菌の繁殖を抑えることです。菌を殺すまでいかないにせよ、菌の力は弱る事になります。ということは、どういうことに繋がるのか…
実は、私たちを皮膚トラブルから守ってくれている菌がいます。それらはお肌に最高のバランスで存在しているのです。
抗菌加工の繊維製品は、その菌たちにとって大打撃となります。少し詳しく見ていきましょう。
皮膚の表面には絶妙のバランスで常在菌が共生
皮膚は大人で約2㎡もの表面積があり、その表面には多くの菌が生息しています。
よく耳にする菌では、ブドウ球菌属やミクロコッカス属やアクネ桿菌(ニキビの元とも言われる)、マラセチア菌,カンジタ菌、白癬菌もいます。
およそ200種類ほどの菌属が100万個も生息しているとも言われているのです。
このたくさんの常在菌は、皮膚に悪くない物ものもいれば、増えすぎると悪さをするものもいます。しかしながら、常は各菌と微妙なバランスで皮膚の表面に生息していて、皮膚病を起こす事がありません。
これら常在菌が生息することも含めて、皮膚には自然とバリア機能が備わっているからです。
しかし、抗菌加工はこのバランスを壊しかねません。この100万個の常在菌のバランスが壊れたら、発疹や痒みやアレルギー、アトピー性皮膚炎等の症状になる懸念があります。
抗菌加工という響きはいかにも清潔に保てそうですが、このような危険もはらんでいるのです。
皮膚病になる恐れ
昔はなかったこういう加工は、加工する薬品がすでに危険であったりもしましたが、今は加工そのものでバランスを崩したために、2次的に何らかのトラブルになるという危険が多いようです。
出典 国立医薬品食品衛生研究所 加工して作成
洗顔料で顔が赤く腫れ上がった体験談
抗菌加工のせいではないですが、私も皮膚のバリア機能が低下し、顔面にブドウ球菌が繁殖して、酷い皮膚病になった経験があります。この時の原因は、洗顔料でした。
とてもよく落ちる洗顔料を勧められ、危ない成分も入っていなかったので、いつもより回数を増やして洗顔に励みました。
しかしすっきりして気持ちの良い洗顔だと喜んでいたら10日もしないうちに痒みが出て、顔中が赤く腫れ上がり、とても外に出られるような顔ではなくなってしまったのです。
医者の説明「洗いすぎが原因。」
専門の皮膚科で受診したところ、洗顔料の成分には問題はありませんでしたが、顔の洗い過ぎで皮膚のバリアが無くなってしまい、常在菌のブドウ球菌が繁殖していたことが判明しました。
その時医師にはこう言われました。
「日本人は毎日お風呂に入り過ぎ。
体は一日一回洗うけれど、顔は朝も洗うでしょう?
すでにそれだけでも洗い過ぎ。
洗い過ぎが顔の表面のバリアを壊したんですよ。」
なるほど、それもそうだと納得しました。
皮膚のバリア機能が正常でないと、健康を損なうのですね。
出典 国立医薬品食品衛生研究所 加工して作成
清潔さを保つために、過剰に菌を殺したり弱めたりするのは考え物だと感じた経験です。
ある程度ばい菌がいても、それに対する抵抗力が備わっている方が理想的な気がします。
毎日の入浴と洗濯で十分に清潔さは保たれている
洗い過ぎでも抗菌加工でも、皮膚のバリアを壊すことは同じです。
毎日お風呂に入る日本人ですから、これ以上抗菌する必要があるでしょうか?
肌着でも靴下でもすぐ洗濯しますし、太陽に干せばしっかり抗菌されるのではないですか?
皮膚病やアトピーのリスクを負うより、太陽の恵みを受ける方が良いと私は思います。