先日ドラッグストアで介護食のレトルトを見つけました。赤ちゃんのレトルトはわかりますが、そういう時代なのだと改めて実感しました。

おかゆ

こちらも赤ちゃんの離乳食の様に、ほとんど添加物のないものだったら良いのですが…

介護用レトルトの添加物

見つけたレトルトの食品は、かなり噛む力の衰えた方向けのペースト状のものでした。

介護用レトルト 原材料

原材料 野菜(にんじん、たまねぎ)、卵白加工品(卵白、植物油脂、砂糖、果糖ぶどう糖液糖)、マーガリン、植物油脂、濃縮にんじん、砂糖、濃縮オレンジ果汁、脱脂粉乳、食物繊維、酵母エキスパウダー、食塩、香辛料、増粘剤(加工でん粉、キサンタンガム)、卵殻カルシウム、調味料(アミノ酸等)、ビタミンC

香辛料までが食材で、増粘剤(加工でん粉、キサンタンガム)、卵殻カルシウム、調味料(アミノ酸等)、ビタミンCは食品添加物です。



加工でん粉の本当の名前

増粘剤の加工でん粉は少々気になる添加物です。

加工でん粉とは名前だけを見ると単にでんぷんを加工したものであるかのようですが、実際は酸や酵素を使ってでんぷんを化学的に処理して作られたものです。平成20年に11の添加物扱いとなりました。化学的なカタカナの長い名前が連なっています。

加工でんぷんの種類
出典 消費者庁 加工して作成

これらの名前が原材料に書かれていたら「添加物だなぁ」と思うところですが、法律では長いカタカナの物質名ではなく、簡略名の加工でん粉、加工でんぷん、加工デンプン、加工澱粉などと表示することが適当だとされています。

加工でんぷん
出典 厚生労働省

ちょっと健康を気遣う主婦が「アセチル化酸化デンプン」などの文字を見たら、買うのを躊躇するかと思います。でも「加工デンプン」と書かれただけでは警戒心も薄れるでしょう。
そう考えると、私たち消費者に本当に優しい法律なのか疑問です。

またEUでは乳幼児向けの食品には加工デンプンの使用量について制限が設けられており、日本のベビーフード協会も自主的に基準を設定していることから、100%安全だとは言い切れない成分なのかなと私は思います。

思っていたより多い添加物を摂取している

キサンタンガムは100%は安全とは言えないものの、かなり危険性は低いと思われる添加物です。卵殻カルシウムも、調べても取り立てて危険とは出てきません。

しかし次の調味料(アミノ酸等)は注意が必要かと思います。色々な食品に使われている添加物です。
色々なものに使われているから安全という訳ではありません。調味料(アミノ酸等)に含んで良い成分は、実に56種類に及びます。

一括表示 調味料(アミノ酸等)
出典 消費者庁 加工して作成

複数の添加物をひとまとめにし、1つの名前で表示できるという一括表示が許されているので、この56種類の中のどの成分をどれだけ使ったとしても「調味料(アミノ酸等)」というたったそれだけの表示で済んでしまいます。
そのため、思っていたよりも実際は多くの添加物を摂取しているということになり兼ねません。

もちろん中に何がどれだけ入っているのかは、私たち消費者には分かりません。調味料(アミノ酸等)はどんな成分が入れられているかをメーカーに問い合わせても、企業ノウハウだからと教えて貰えないのが一般的です。
(一括表示について詳しくはこちらの記事へ↓
「保存料不使用」は本当?一括表示で消費者を欺く法の裏ワザ

石油由来のビタミンC

ビタミンCがレモンを絞ったり、ブロッコリーから抽出したものなら嬉しいですね。しかし残念ながらビタミンCとよく似た合成の石油由来のアスコルビン酸か、トウモロコシ等のでん粉から化学的に作りだしたものか、複数の添加物を一括にまとめてビタミンCと表示したもののいずれかです。
レモンなどから抽出していると値段がかなり上がってしまうため、これらの添加物を使うことが多くなるようです。

残留農薬が心配な輸入食材

今回この介護用のレトルト食材で、添加物もさることながら「ビジネスだな」と思ったのは、濃縮にんじんと濃縮オレンジ果汁です。

値段からして濃縮にんじんも濃縮オレンジも、海外から安く輸入したものだと見るのが自然です。

濃縮還元ジュースや濃縮ペーストのほとんどが輸入ものです。しかし希釈した国を原産国と表示することができるため、日本に持ち帰ってから希釈すれば、原料が海外のものであっても「国内製造」と表示することができます。
もちろん日本でも検疫がありますが、海外で使用された農薬などが僅かでも残っていたらと思うと怖い気がします。
(濃縮還元について詳しくはこちらの記事へ↓
それで栄養摂ったつもり?国内製造100%濃縮還元ジュース

また、輸入の濃縮還元ジュースや濃縮ペーストは、コストが安い分メーカーの利益が多くなります。

自分の家族に使わせたい気持ちで製品開発を

介護する方の力になってくれる介護食ですが、企業側は利益を最優先することが多いのが現実です。
介護食が開発された時は、介護される方の為になればという気持ちで製品が生まれたのかも知れません。でも今は介護される方の有益性と企業の利益とでは、どちらが優先されているのでしょうか。

今まで大事に育ててくれたお父さんお母さんに、どんなものを食べさせてあげたいですか?

かぼちゃの裏ごし

介護はナイーブな問題ですが、どうしても大変だという時だけレトルトを利用するのが理想的なのかもしれません。