家族の健康を考える主婦は食品にも日用品にも気を遣います。中でも食べ物は特に注意されていると思います。
食べ物で気をつけている事と言えば、農薬がかかっていないかという事や、食材に不要な添加物が入っていないかということでしょう。
農薬は今回は置いておくとして、製造メーカーにとって有利で便利な、添加物における法律の抜け穴のお話です。
ガバガバ添加物を入れていても「~等」と、ひとくくり
添加物は、農林物資の規格化及び、品質表示の適正化に関する法律(略称:JAS法)の中の法律で定められています。
このJAS法では、使用の目的が同じ場合、複数の添加物を使っていても、一括で表示していい事になっています。
出典 厚生労働省 加工して作成
例を挙げながら簡単に見ていきましょう。
ご自宅の調味料の成分表示を確認してみてください。
商品の裏に「調味料(アミノ酸等)」と書かれているものはありませんか?
アミノ酸等の「等」って何なんだろう…と思いますよね。
調味料にできるものは、グルタミン酸ナトリウム、DL-アラニン、グリシン、核酸、コハク酸二ソーダ等…実は56種類もの添加物があります。
製品に味を付けるために、この中からいくつかの添加物を入れたとします。
するとどうでしょうか。
消費者から見れば、「たくさん添加物が入っていて嫌だな」という印象になります。
そこで先ほどの法律に従い調味料(アミノ酸等)と一括して表示をまとめれば、パッと見た感じはたった1つの成分に見えるので、単純に「調味料が入っているな」というだけの印象になります。
これを一括表示と言います。
保存料を使って保存料不使用と表示させる方法
添加物は複数の効能を持つものも多いです。
たとえばクエン酸ナトリウム。
このクエン酸ナトリウムは、食品を保存する効能もあれば、味の改善にも使われる、まさに「複数の効能の持ち主」です。
このクエン酸ナトリウムが一括表示になる様子を見てみましょう。
あるメーカーが、何かの食品を製造していたとします。
「保存」という目的で、保存料として、クエン酸ナトリウムが入れられました。
そして一括表示が許されている他の添加物…
たとえば味を調える目的で、グルタミン酸ナトリウムも入っていたとします。
先ほど保存目的で使用したクエン酸ナトリウムは、味の改善という効能も持ち合わせていますよね。
そこで、グルタミン酸ナトリウムと同じ「味を調える」という目的で、調味料としてクエン酸ナトリウムを使いましたと言えば、クエン酸ナトリウムとグルタミン酸ナトリウムは一括され、ひとまとめに調味料(アミノ酸等)という表示にできるのです。
<クエン酸ナトリウム、グルタミン酸ナトリウム>と、ひとつひとつ表示しなければいけないところを、一括表示の条件である
同じ目的で使ったものは一括表示できる」
というルールを見事クリアしているため、調味料(アミノ酸)という、たった1つの名前でひとまとめにして表示することができたわけです。
当然消費者の中には「添加物が少ない」と思い込んでしまう人も出てきます。
これを上手く使えば、本来の使用目的は保存であるにも拘らず、保存料不使用とネーミングされた製品を生み出すことが可能なのです。
香料を何種類ブレンドしても表示はひとつ
香料に関しても同様のことが言えます。
世の中には、イチゴ味、メロン味、キャラメル風、抹茶風味…など様々なフレーバーの製品が売られていますが、目的の香に近づけるためには何種類もの香料をブレンドし、ひとつの香りを作らなくてはなりません。
香料は国も危険性を認めている表示指定成分ですが、それが何種類も添加されていくことになります。
しかし、表示の上では「香料」とひとくくりに表示して良いので、危険な成分がいくつも入っているなんて、消費者には分からないのです。
食品に限らず、日用品や化粧品に関しても同様のことが言えます。
ここまで来ると、化学のマジックのようですね。
一括表示の種
一括表示は次の14種類です。
一括表示ということは、最低でも2種類以上の添加物が入っている訳です。
これらの表示が書かれていない食材を選ぶようにしたいですね。
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一括表示とは!?知らずに健康を損ねる前に知るべきこと)
最後に、あまりに多くて全部は控えますが、本当によく見かける一括表示の例を挙げておきます。赤線などは加工して作成しています。
もっと詳しく見てみたいという方は消費者庁のページへどうぞ。17ページから見ることができます。
一括表示 調味料(アミノ酸等)
一括表示 pH調整剤
一括表示 酸味料
一括表示 膨張剤
一括表示 イーストフード
一括表示 香料