食材や洗剤の安全性に関心を持つ方も増えてきているようです。その中で近年、若年性のアルツハイマーや認知症のお年寄りが増えたことで、アルミの鍋を敬遠する風潮が出てきました。
しかし最近はアルミがアルツハイマーの原因ではないとする考え方が強くなり、それよりもフッ素樹脂加工の鍋やフライパンの方が加熱によりガスが発生すると話題になっているようです。

キッチン用品

実はかなり前から危険性が指摘されています。
フッ素樹脂加工と言うと一般名はフッ素樹脂加工と呼ばれますが、テフロンと言う方がなじみがあるかもしれません。

フッ素樹脂加工の鍋やフライパンは油を使わないか、ほんの少量でも炒めたり焼いたり出来るので、ダイエットに一役買ったり、焦げ付きにくく大変便利です。
そのフッ素樹脂加工の裏にどんな危険性があるのか見てみましょう。

高温で毒ガスが発生するフッ素樹脂加工

カセットコンロでフッ素樹脂加工のフライパンを空焚きする際の耐熱調査が行われました。
調査結果からは5分の加熱でフライパンの温度は370度もの高温に達し、400度を超えるとフッ素樹脂塗膜は熱分解が始まることがわかりました。423度に達すると有毒ガスも発生します。

フッ素樹脂から発生したガス
出典 神奈川県庁 加工して作成

このフライパンテストで発生したガス、テトラフルオロエチレンの人への影響の恐れは呼吸困難であると書かれています。少し調べてみるとその他にも多くの影響があるようです。
ラットやマウスを用いた実験では急性毒性による中毒や死亡する量も把握されました。

世界の主要な検査機関によるテトラフルオロエチレンの発ガン性の可能性についてはこちらでまとめられています。

テトラフルオロエチレン
出典 環境省 加工して作成

呼吸困難や吐き気等の一過性のものだけでなく、発ガンの危険性も秘めていることが分かります。他のフッ素樹脂から発生するガスも同じような危険性があるものと思われます。



たった2分の加熱で有害ガス発生

フッ素樹脂加工のフライパンについて2003年にはアメリカの市民団体、NGO環境ワーキンググループは、通常の使い方をした240度程度でも有毒ガスが発生すると発表しました。
この環境ワーキンググループは、2分程度空焚きしただけでもフッ素樹脂加工鍋は380度~390度の高温に達するとも発表し、200℃ほどでペットの鳥が死んでしまったことも報告しているようです。

フッ素樹脂加工のフライパンは危険
出典 公益社団法人 関西消費者協会 加工して作成

日本でもあちらこちらで注意を呼びかけています。インターネット上でも多くの記事を目にしますね。
しかし販売側では「通常の調理温度で使用した場合」においては安全としています。と同時に「多くの物質の焼け焦げて生じる煙は有害です」と注意を呼び掛けています。

テフロン™加工の調理器具は安全です。
出典  Chemours 加工して作成

腑に落ちないのは、「テフロン加工の調理器具の推奨する耐熱温度は260℃」という記載です。
先に書いたように環境ワーキンググループは「通常使用の加熱温度240度程度でも、有毒ガスが発生する」と発表しましたし、神奈川県のフッ素樹脂加工したフライパンのテストでは5分で370℃に達することがわかりました。
うっかりしてたった5分でも空焚きすると、あっという間に260℃という耐熱温度を超えてしまいます。

個人的には、焦げ付かない・洗いやすいなどのメリットよりもデメリットや不安の方が大きい気がします。

有毒ガスの発生しない調理器具を選択すること

食品、日用品、化粧品、全てにおいて、売り手側の言い分と消費者側の言い分では、かなりの開きがある場合があります。安全性においては何事も慎重に判断する方が懸命でしょう。
通常の使い方で有害ガスが発生する調理器具は使わない方が望ましいと思われます。

鍋にしてもフライパンにしても、鉄もステンレスも銅も耐熱ガラスもありますから、ガスの発生しない調理器具を選んでください。
焦げ付かせないように気をつけてお料理してくださいね。