安いお肉は家計に優しく魅力的ですね。
でも、海外輸入の牛肉ではありませんか?私たちが普段口にしているお肉はどのようにして育てられたのか、あまり詳細を知る機会はありません。
今回は安定した人気を誇る牛肉のお話です。
過密な環境で高カロリー食を強要される牛
アメリカの食肉となる多くの牛は、産まれてから出荷されるまで、ずっと牧草のある場所で飼育されるかと言えば、そうではありません。
一般的に多くの牛はある一定期間、牧草ではなく穀物主体の餌で飼育される期間が設けられます。
アメリカではトウモロコシを中心とした穀物を与えられます。(トウモロコシ以外にはその副産物や、ソルガム、大麦のほか、大豆ミールなども給与される場合があります)
出典 独立行政法人農畜産業振興機構 加工して作成
トウモロコシなどを与える理由としては、アメリカではトウモロコシの生産が多いということがまず挙げられます。次にトウモロコシは飼料として価格が安価であること。そして油分の多いトウモロコシは脂の多い牛にすることができ、消費者に好まれる肉質にすることができるという点です。
参考までに、産まれてから出荷されるまで牧草だけで飼育されるオーストラリアの牛の肉は、牧草の香がすると敬遠する人も多くいます。
草を食べれば当然そうなると思いますが、消費者の中には草などの特有の匂いがするから嫌だという人もいるのです。
また、消費者に好まれる肉質にする為と肉牛の体重増加を狙い、過密に飼育している地域もあるというのも気にかかります。
出典 独立行政法人農畜産業振興機構 加工して作成
そこでは飼料の購入から牛の購入、販売、財務まで、すべて企業が管理し経営しています。牛の健康よりもまず経済を成り立たせなければいけませんから、利益を優先するため消費者に好まれる肉質にしたり、成長を促したり…
そこに危険はないのでしょうか?生き物である牛を物のように扱っているのではと気にかかります。
2008年のロバート・ケナー監督のドキュメンタリー映画『フード・インク』では本当にこんな扱い方をして飼育しているの?と目を疑うようなシーンも出てきます。
映画の中ではアメリカ、アイオワ州立大学のA・トランクル教授が、本来草を食べるようにできている牛に、トウモロコシの多い餌を与え続けたらどうなるかを話しています。
牛の胃の中には微生物がたくさん存在するのですが、その中の大腸菌が耐酸性を持つようになり、より危険な大腸菌に変化すると言っています。
こんな大腸菌を持った牛の肉に、大腸菌は残ったりしないのでしょうか。この大腸菌が後にO-157などになったりはしないのでしょうか。
肉質のための去勢。不衛生な環境で抗生物質まで投与
もし映画『フード・インク』で見たように過密に飼育されているのなら、病気、予防、肉質向上のために薬が使われている事もありうると思います。
自然界では1:1の割合で雄と雌が生まれます。しかしどの動物でもオスの筋肉はメスより硬いため、食用としては好まれません。そのためオスのホルモンを出す睾丸は摘出し、柔らかい肉質にするために、ホルモン剤を与えることになります。
出典 マナメッセ
生きるために家畜を飼う。
それは生命の営みとして、人間がこれまで培ってきた知恵ですが、踏み込んでいい領域を超えてしまっているように思えます。
そう思わざるを得ない報告もあります。肉に残るホルモン剤の影響でこれを食べた女児の子供の胸が膨らんできた、男児にひげが生えてきた、などです。
出典 マナメッセ
なぜそのようなリスクを冒してまで抗生物質を入れるのかと言うと、超過密な中で飼育されているので、牛たちは糞尿まみれになってしまうんですね。そうなると感染症などの病気になりやすいのです。
その対処法はあらかじめ飼料に抗生物質を入れること。こうすることで、病気の感染をはじめから防いでいるのです。
出典 マナメッセ
でも、この方法では抗生物質アレルギーの人がアレルギーを起こし、また いざという時に抗生物質が効きません。これではどうしても心配が残ります。
(抗生物質について関連記事はこちら。
豚肉に潜む危険性。豚に抗生物質はどうしても必要なの?)
抗生物質とホルモン剤が多分に使われた牛の肉が、アメリカ産の特価品の目玉商品として スーパーに陳列される。これが、過密に飼育された牛の普通の出荷までの流れです。
あなたは、どう思われるでしょうか。
私はこの事実を知ってからアメリカ産のお肉は避けるようになりました。
こちらのFOOD,INCのサイトも参考になるかもしれませんのでリンクを貼っておきます。(画像クリックでもサイトに飛びます)
参考図書 「マナメッセ」