懐かしいハンド&ボディクリームを見つけました。学生の時に使っていたものです。まだ同じものがあるなんてロングヒットなんですね。

クリーム

シャンプー・台所洗剤・スキンケア用品ひとつにしても、かつては本当に限られた商品しかなかったように思います。「化粧水ならこれ」「ハンドクリームはこれ」と大体決まっていました。
さて、この懐かしのクリームの中身はどんなものでしょうか。

成分の大半が良くても問題はある

クリーム 原材料

成分 水、ミネラルオイル、ワセリン、グリセリン、水添ポリイソブテン、シクロメチコン、マイクロクリスタリンワックス、パラフィン、スクワラン、ホホバ油、オレイン酸デシル、オクチルドデカノール、ジステアリン酸AL、ステアリン酸Mg、硫酸Mg、クエン酸、安息香酸Na、香料

昔からあるこのクリームは値段も安く、どこでも手に入ります。
調べてもほとんどの成分は危険性が出てきませんが、気になる事はまず水添ポリイソブテンがわずかに皮膚の刺激がある事と、シクロメチコンがシリコンの種類だという事です。

シリコンはコンディショナーなどにもよく使われていますが、髪をコーティングしてさらっとした感じに仕上げます。同様に、クリームに入れても塗った部分がコーティングされ、さらっと潤ったかのように見せてくれます。
コーティングされるという事はしっかり皮膚にくっついている訳で、洗い流そうとした時に強力な洗浄剤が必要となってきます。成分の毒性というよりこちらの方が困るところです。

シリコン入りクリームで皮膚をコーティング

(強力な洗浄剤について詳しくはこちらへどうぞ
ひび割れは健康障害!?細胞破壊の合成界面活性剤ー台所洗剤編



旧指定成分の危険性

一番気になったのはこの2つ、安息香酸Na香料です。

安息香酸Naは菌の繁殖などを抑える殺菌、防腐剤、保存料です。食品にもよく使われています。しかし、国が危険だと言っている旧指定成分のひとつでもあります。旧指定成分とは、何らかの症状が現れる可能性がある危険な成分だということです。

安息香酸Naの症例としては喘息や鼻炎など、数多くが報告されています。

安息香酸 安息香酸ナトリウム 安息香酸Na
出典 国立医薬品食品衛生研究所 加工して作成

安息香酸または安息香酸Naによる皮膚反応は、健康な人ではまれですが、敏感な人にはアレルゲンになるとも言われています。

安息香酸 安息香酸ナトリウム アレルギー
出典 国立医薬品食品衛生研究所 加工して作成

遺伝毒性の可能性も否定されていません。

安息香酸 安息香酸ナトリウム 遺伝毒性作用
出典 国立医薬品食品衛生研究所 加工して作成

分子量の小さい石油由来の安息香酸Naは簡単に皮膚から経皮吸収してしまいます。
(経皮吸収とは何らかの成分が皮膚を通過して体内に入ることです。この性質は湿布など医療にも使われています。詳しくはこちら↓
経皮吸収ってなに?日用品や化粧品が肌から浸透してるの!?

また経皮吸収の怖さは、吸収された成分が解毒器官の肝臓や腎臓を通る事が少ないため、1週間~10日経ってもほぼ90%は体の中に残っているという事にあります。

経口吸収と経皮吸収の違い
出典 「合成洗剤は細胞を破壊する」 坂下 栄 加工して作成

クリームは手や体に使いますよね。一日に何度も手にクリームを塗っていたらどうでしょうか。安息香酸Naが体外に排出されるより、体に蓄積される量の方が、はるかに上回るのではないでしょうか。

経皮吸収 経口吸収

体を蝕み環境をも汚染する香料

もうひとつ、国に危険と警告され、指定成分でもある香料も問題です。
「香料」とひとまとめに書かれていますが、どんな香料が何種類入れらているか私たち消費者には全く分かりません。いくつ香料成分を入れていても、1つの名前でひとくくりに表示しても良い一括表示が許されているためです。

香料

香料の成分も安息香酸Naと同じように皮膚から経皮吸収され、体の外に出るのはわずか90%ほどです。
しかも香料は匂いですから、塗る度に鼻から粘膜吸収されることになります。経皮吸収よりも粘膜吸収の方が、はるかに早く吸収されてしまいます。

粘膜吸収 例

香料の環境汚染も深刻です。自分の体だけでなく、地球も汚しているという事です。

合成香料 環境汚染
出典 熊本大学大学院自然科学研究科 加工して作成

入っているほとんどの成分はあまり危険性のないこのクリームですが、安息香酸Naと香料の2つが、これに代わる安全な成分だったらどんなに良いかと思います。